2013年10月22日

珈琲でもてなし、エンピツで心を伝えたい! 6日目(11日)レポート!

サーフィンが大好きなシネマウマです。6日目(11日)のプログラムは『命ある限り』『珈琲とエンピツ』『戦争と一人の女』『カリフォルニア・ドールズ ニュープリント版』でした。今回は、ゲストトークのあった『珈琲とエンピツ』の様子を。記録班スタッフがレポートします。

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大変な盛況でした!

本作は、ろう者でサーフショップを営む太田辰郎さんを描いたドキュメンタリー映画。来店客には、まず、ハワイのコーヒーでもてなす。手話のできない人とは、紙とエンピツによる筆談。身振り手振りのボディーランゲージを交えれば、コミュニケーションはまったく問題ない。そんな太田さんの日常を描いています。

手話のできない聴者(ここでは「健常者」という表現はしない)は、相手がろう者(「聴覚障碍者」という表現はしない)だと一瞬ひいてしまう。「コミュニケーションが取れない」と、帰ってしまう客もいる。実際、このサーフ&ハワイアン雑貨店を始めた頃は(20年勤めた会社を辞め、サーフボードづくりの修業をして念願のサーフショップの開店にこぎつけた)、客も少なく、来店してもすぐ帰ってしまう人も多かったそうです。

そこで、太田さんは、まず、珈琲でもてなすことにしました。耳が不自由であることをボードに示し、紙とエンピツを用意して筆談。ここまでくれば、言葉の壁は低くなる。あとは身振りと手振りで補えば、コミュニケーションは十分とれて、お客さんとも自然に打ち解けた会話となっていく。

もちろん、太田さん自身が太めのコメディアンといった風貌(ちょっとツノダヒロに似ている)で、ひとなつこさを醸し出していることが大きい。ろう者・聴者にかかわらず、太田さんは楽しくおしゃべりしている。映画はそんな様子を軽快に描いています。

この映画の監督である今村彩子さんもろう者です。ナレーションも、監督自身が担当しています。

上映後、その今村監督、太田さんをお招きしてのトークは、終始笑いが起きる明るい雰囲気でした。太田さんのキャラもありますが、ボランティアの方々の手話や手書き速記の巧みさがあってのことで、みごとだと感心しました。

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太田さん。「なぜ筆談にエンピツなのか」という司会者からの質問に「エンピツ書きだと感情が出る、性格もわかる、だからエンピツがいい」。なるほど。

「奥さんとは仲がいい。秘訣は?」 「いつも家族でおしゃべりをしている。だから怒る暇がない。妻と仲がいいのは、今でもいつも一緒にお風呂に入っているから」。ふーん、見習わなくっちゃ。

「珈琲が苦手の人にも勧めるのか」という質問もありました。「『まあ、飲んでみて。うちの珈琲は珈琲の苦手な人でも大丈夫』と言って勧める。たいていの人は、飲める、おいしいと言ってくれる」。

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太田さん

今村監督は、「今後、劇映画を撮る予定はあるのか?」という質問に答えました。「生きている人を描きたいからドキュメンタリー一本でいきます。ドキュメンタリーは、撮りながら学ぶことが多い」。

ナレーションも良かった本作。なぜ監督自身がナレーションをしようと思ったのか?
「聴者と同じような声でないので嫌だったし、そんなつもりもなかった。母も反対した。ことばが十分伝わるか、心配でした。しかし、『伝えたい』という気持ちを優先させることにしました」。

字幕も活字ではなく、監督自身のエンピツ書きのものでした。この書体も温かみのある字でしたね。

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今村監督

ゲストトーク終了後にはロビーで、サイン会やグッズ販売が実施されました。トークタイムに引き続き、終始、明るい空気が漂っていました。

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最後に今村さんから今回の上映について、ひとこと感想をいただきました。
「たくさんの人に来ていただいた。トークも温かい雰囲気の中でできて、うれしかった」

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今村監督、太田さん、ご来場のお客さま、心温まる素敵な時間をありがとうございました!(記録班・N)
posted by シネマウマ at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2013年10月21日

国内外で上映の輪が広がるドキュメンタリー登場 5日目(10日)レポート!

今年の映画祭は平日も盛況が続いていて、シネマウマも毎日ひっぱりだこ、
ウマなのに…。
特にドキュメンタリー作品の注目度が高かったウマ!

今年はドキュメンタリー作品をゲストトーク付きで計4本上映しました。
世の中のこんな出来事を知ってほしい。こんな人がいることを伝えたい…。
その思いを多くの人に届けるために、ドキュメンタリー映画に関わる人たち
は地道な上映活動と、“作り手自らが観客と触れ合うこと”を各地で続けています。
その一環に私たち「しんゆり映画祭」も在るということを、改めて実感する日々でした。

それでは、映画祭も後半にさしかかった5日目の『カンタ・ティモール』、ゲストトークの様子を映画祭スタッフのレポートでどうぞ!

10日のプログラム2本目の映画、『カンタ!ティモール』は、アジアの島国、東ティモールを描いたドキュメンタリー映画です。
東ティモールの美しい自然、すばらしい音楽、人々の素敵な笑顔が印象に残り、自然の大切さや、不思議な導きの力を感じ、平和について考えさせられる映画です。

物販コーナーでは『カンタ!ティモール』の上映前から、特活PARCIC(フェアトレードを通じて人と人が助け合う「民際協力」を重視するNGO)の方がいらして、東ティモールのコーヒー、ハーブティー、雑貨等を販売されました。
この日1本目の映画の上映が終わった後から、多くの人の関心を惹いていて好評でした!
PARCICの方に、シネマウマをかぶって記念撮影していただきました!!
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『カンタ!ティモール』、平日のお昼時にも関わらず、ほぼ満席になるほどのお客さまにお越しいただきました。
お客さまには、もれなく東ティモールのコーヒーのプレゼントがありました!

上映終了後は広田奈津子監督を招いてのトークショー。
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とても可愛らしくて、優しい雰囲気の監督が登場し、会場も暖かい雰囲気になりました。
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トークショーは、映画の中でキーパーソンとなるアレックスさんのメッセージから始まりました。
ちょうど東日本大震災の後の2011年5月、監督は本作を見せるためアレックスさんたちに会いに行きました。
日本のことをとても心配なさっていたそうです。
そして、なけなしのお金を集めて「東北に送ってほしい」という人や、「家族のご遺体が見つからないことはとても辛いことだ」といろいろな人に声をかけられたそうです。
アレックスさんはご自身が地下資源をめぐる戦争ビジネスを見てきたこともあり、特に原発事故についてとても心配なさっていたそうです。
「原発というものの背景にはいろいろなややこしいことがあるのは想像しているけれど、きっと乗り越えられる試練で、日本のみなさんもがんばっていると思うから、帰ったら伝えてほしい」と広田監督に下記の伝言を託しました。

「自分たちの仲間が10人しか見えなくて、対するものが大きくて巨大で、1000人にも見えても、もしそれが本当に命に沿った仕事、命が喜ぶ仕事であれば、亡くなった人たちがついていてくれるから、それは1000どころじゃないから、絶対に大丈夫だから、恐れないで続けてください。
仕事の途中で命を落とすことがあるかもしれないけれど、それでも大丈夫だから恐れないで。
もしどうしても仲間が10人にしか見えなくなったら、僕らのことを思い出してほしい。
東ティモールはとても小さかった。
あの巨大な軍も撤退させるなどということができたら奇跡だと、笑われた戦いでした。
でも最後には軍も撤退しました。それは夢でも幻想でもなく現実に起きたことで、目に見えない力も僕らを支えてくれたから、どうか信じてください。」


特に「仕事の途中で命を落とすことがあっても大丈夫」という言葉は、広田監督もいろいろな所で聞いた「とても彼ららしい言葉」だそうですが、いったいどういう意味を持つ言葉なのでしょうか。
続いて、この映画が不思議な偶然に導かれてできた映画だということ、東ティモールの強さ、命の力、平和についてなどを語られました。
何のつてもなく、「ただアレックスさんを探しに島へ戻った」ところから制作がスタートした本作。
現地の人たちにたくさん支えられただけでなく、通れるはずない川を通れるようになったり、本来会えるはずのなかった初代大統領に会えたりと、いろいろな場所で遭遇する不思議な偶然の重なりに、広田監督は「平和を願って亡くなった人たちが、まだ世界に平和が来るのを夢見て仕事をしてくれているのかもしれない」と思うようになったそうです。
「命を落としても大丈夫」という言葉は、たとえ自分が死んでも、平和への願いや平和を作っていこうとする力は世代を越えてつながっていくということを信念に、武力にも脅しにもひるまなかった人たちの真実なのかもしれません。
一人の平和を願う強い気持ちがあれば、磁力のように、やがてたくさんの人の力が引き寄せられて、困難も乗り越えることができるから、諦めることはないという力強いメッセージで、広田監督のお話は締めくくられました。

続いてティーチインが始まり、観客の方々から数々の質問が挙りました。
「アレックスさんは今何をしているの?」という質問がありました。
広田監督によると、現在アレックスさんは4人のお子さんのお父さんになっており、農民の権利を守る組織のリーダーをしながら元気に暮らしているそうです。
独立後の東ティモールに、仕事で行ったという方からは、「行ったときにはわからなかった、それ以前の東ティモールの姿を知ることができ、感動しました。」とのご感想をいただきました。
はるばる富山からいらしていた方からは「自分が在る中で感じる幸せであったり、森や自然を敬って、人と人とのつながりを大切にししていくことが大事であることを改めて思いました。」とのご感想が。
それを受けて広田監督からは「多くの紛争地を注意深く見ていくと、経済問題が関わっている。戦争を起こしている原因の根本には経済活動があって、先進国と呼ばれる国の私たちの生活があるわけです。
その生活を送ってしまう根本にあるのは“恐れ”ではないかと思います。
…自分の心にやってくる恐れや不安、未来への不安や許せない過去へどうやって向かい合っていくのかがこれからの全員の課題だと思います。
…命が連なっていること、死が忌むべきものではないこと、命と向き合っていけば自分の中に力があって答えがあることに、もう一度向き合っていくことで“恐れ”から解放され、やるべきことをやっていけてはじめて、戦争を招いてしまう経済活動も違う形になっていくと思います。」とのお言葉をいただきました。
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どの質問にも熱心に答える広田監督。そのうちにトークショーの時間はあっという間に過ぎていて、シネマウマから監督へのプレゼント!会場から笑いが起きました。

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トークショーの時間が終わって広田監督自ら、物販コーナーに立ち、観客の一人一人と丁寧に対話されていました。
監督の優しさに感動しました。上映終了後のロビーはしばらくの間、多くの人たちで埋め尽くされていました。

広田監督は小さくて可愛らしいのに、とても芯が強く、穏やかで、私は、広田監督のような素敵な女性になりたいと思いました!
(記録班・O)

『カンタ・ティモール!』はまだまだ全国で絶賛上映活動中!
「うちでも上映したい」という声が、学校や公共施設、カフェや映画館、各種団体などからたくさん届いているウマ!
しんゆりでこの映画を知って、もっとみんなに見てほしい!って思った方は、
ぜひ、『カンタ・ティモール!』公式サイト上映申し込み・お問合わせ
を読んでみてウマ!
「しんゆりでも見逃しちゃった」また、「もう一度観たい!」という方はスケジュールをご確認だウマ!
posted by シネマウマ at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2013年10月17日

平泉成さんほか多くのゲストで賑わいました!4日目(9日)レポート

こんばん馬!シネマウマです

3日目(9日)レポートでウマ♪

『カルテット!人生のオペラハウス』 『先祖になる』 に続き、この日の目玉作品!バリアフリー副音声ガイド付上映『箱入り息子の恋』。ミュージシャンでもある星野源さんと、数々の映画への出演が相次ぐ女優の夏帆さん主演の本作。会場はチケット完売の満席、上映後は市井昌秀監督と、星野さんの父役を演じた平泉成さんをお招きしてのゲストトークが行われました。

トークでは、主人公を軸とした家族の物語が魅力的な出演陣によってどう映画になっていったか、また、平泉さんの役作りのポイント、撮影秘話などの内容が語られました。お客様からも質問が寄せられ、大変な盛況ぶりでした。以下、映画祭記録班・広報班スタッフがトークレポートをお伝えするウマー!

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まずは市井監督へ、作品の構想を練る段階のお話から伺いました。

日常的に鬱屈した思いを抱え、親にも結婚の心配をされながら、どこか閉じこもった生活をしている青年が“殻を破る”、そういったエネルギーを星野源さん演じる「天雫 健太郎(あまのしずく けんたろう)」に託したそう。本作の構想を練っていた市井監督自身が少し感じていた心境とも重なるものがあったそうです。

主役に選んだ星野源さんについては、星野さんの芝居を見た時に、素直に役に入りながらもあるところで感情を爆発させることもできる、そんなところに魅力を感じたとか。また、星野さんが作る音楽についても共感できるところがあったそう。

夏帆さんをヒロインに選んだ理由は、以前、別の海外の映画祭で夏帆さんを見かけたことがあり、「なんてきれいな方なんだ!」と驚嘆し、いつか出演していただきたいと思っていたことが大きな理由とか。

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そしてもうお一人のゲスト、平泉成さんからは、ここでしか聞けない撮影秘話をたくさんお話いただきました!

まずは、平泉さんと森山良子さん演じる、健太郎の両親の息の合った演技について。どうしてこんなにバッチリのコンビネーションなのか?

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実は撮影の合間、森山さんと平泉さんは森山さんの代表作『さとうきび畑』の歌を一緒に「ざわわ、ざわわ〜」と歌ったり、適度に遊んでいたそう!

また、お二人とも実生活で子育てを経験していることから、子どものことをいつまでも心配する気持ちもとても理解できたし、自身が一生懸命子どもを育ててきたという経験が自然とこの映画の中では活きたそうです。

そして話は平泉さんの役者としての“演技論”へ。
元々は約50年前、大映京都ニューフェイスとして映画界に飛び込んだ平泉さん。様々な役者経験を経て、ここ10数年は「演じることをあまり考えない」という独自のスタンスで仕事をされてきたとか。

できるだけ演じないで、ありのままの自分をどう調理するか。
どうしたら自分らしく無理をしすぎないで仕事ができるか。
そのような考えをもって仕事に臨んでいるという、ベテラン俳優ならではの深い演技論は感慨深いものでした。

そんな平泉さんに、市井監督は「平泉さんの存在は、撮影現場でも頼もしかった」とのこと。平泉さんからは、シナリオの内容でもアドバイスをいただいたこともあったそう。

若手監督とベテラン俳優が、それぞれの才能を発揮し合って、一つの映画が完成したんだな〜、ということを、まさに目の前で実感したそんなトーク内容でした。

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最後には、ビックリサプライズも!

なんと、平泉さんが、得意だという俳優の“大滝秀治さん”のモノマネを披露してくださいました!
これには会場のお客様も大爆笑。お客様を楽しませて下さる大御所俳優の心意気に触れた瞬間でした。

市井監督、平泉様、みなさまありがとうございました!(広報班・M)




続いて本日ラストの映画は、今年3月で閉校した日本映画学校(現・日本映画大学)の最後の卒業制作作品『漁火』
学内の卒業制作の中では最優秀賞に該当する“佐藤忠男賞”、「映文連アワード2013」部門優秀賞も受賞した本作。
 
撮影の豊福崇之さん、制作・編集・録音の吉田拓史さん、そして緒方明監督・日本映画大学教授をお招きし、途中から監督の沢田啓吾さんも駆けつけてくださいました!若い制作陣の想いに、ベテラン監督の緒方明教授の深い分析が加わる、聞き応えあるトークとなりました。

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緒方教授いわく、優れたドキュメンタリー映画に必要なのは企画力、取材力、構成力の3点である、とのこと。
 
本作については、特に「取材力」という点において恵まれた作品なのではないかと、考察した緒方教授。ドキュメンタリー映画の撮影現場では、取材すればするほど、取材される側が嫌がったり、遠ざかることが起こるようなのですが、本作では「取材対象(=主人公のみーばー)から監督が愛されている」というベースが初めから終わりまで整っていることがまず特長の一つであり、取材対象が一向に監督の取材を拒んだり遠ざかったりしない、という点で非常に恵まれているとのこと。
 
取材対象と監督の関係性がドキュメンタリー映画では重要なファクターになる、ということをあらためて学んだ瞬間でした。
 
ただし、さすがそこはプロの映画監督、ほめるだけではありませんでした!「その『愛されている』状況に監督がまだまだ甘えている」という辛らつなコメントも!映画大学の授業をすぐそばで聞いているような講評、迫力がありました。

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左から吉田さん、豊福さん、緒方教授、沢田監督
 
一方で、監督の沢田さんからは「この作品は自分にとっての思い出」のような作品になった、との率直なコメント。また、映画の中で実際の家族にキャメラを向けて、あらゆる瞬間を撮影しようとしている自分自身に、迷いがあったことも明かしてくれました。

撮影の豊福さんからは驚きのエピソードも。撮影後、主人公みーばーの故郷である生月島(いきつきじま)のことを聞かれても、まだまだ知らないことばかりでだめだ、という思いから、沢田監督と撮影の豊福さんは撮影後の2ヶ月間、アパートを借りて生月島で暮らしたそう。島の風景や様々な場所を訪れて、その土地の何かをつかもうとししたのだとか。

そこで大変だったのは、編集の吉田さん。自分ひとりで編集するのかよ、、、という思いがあり、反対したのだとか。今ならば笑えるエピソードのようですが、当時は本当に大変だったそうです。

客席からも「制作中、スタッフ間でケンカはなかったのでしょうか?」「登場人物の方たちはこの作品を観てどんな感想を?」「(緒方教授に)大学で教えていて、最近、学生に対して感じることは何かありますか」など数々の質問が寄せられ、さまざまな裏話を知ることができて、盛り上がりました。
 
最後にシネマウマがプレゼンターとして登場し、客席から笑いが!

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今年3月に映画学校を卒業したばかりの沢田さん、豊福さん、吉田さんの今後の活躍に期待だウマ!(記録班・O、広報班・M)

以上、4日目(9日)レポートでした。映画祭レポートはまだまだ続くウマー☆
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2013年10月12日

大島渚特集ほかもりだくさん!3日目(8日)レポート☆

こんばん馬!シネマウマです♪

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たまに駅前に出没しまウマ〜♪

マサラ上映、3D上映、カリフォルニア・ドールズ!その他盛りだくさん、大盛況のうちに終わったイオンシネマ新百合ヶ丘の2日間を終え、今日から13日(日)まで、会場は川崎市アートセンターになりまウマ!

一本目は、5日初日もほぼ満員だったボリウッド特集のひとつ『きっと、うまくいく』。3時間という長さを感じさせない、笑いあり涙ありの傑作!ツイッターなどでも、お客さまから感動の声が寄せられています!

この回は保育付き上映でした。映画祭では長年、どなたでも映画を楽しんでいただけるよう、副音声ガイド付上映、バリアフリー日本語字幕付上映、そして保育サービスを行っています。映画鑑賞中にお子さまをお預かりし、映画を楽しんでいただきました。1-写真 4.JPG

2本目、3本目は、今年の目玉の一つ「永遠の大島作品」特集作品『愛のコリーダ 完全ノーカット版』『少年』でした。『愛のコリーダ』はおかげさまで満員御礼!
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上映後、当映画祭ではおなじみの佐藤忠男さん(映画評論家・日本映画大学学長)のゲストトークが行われました。以下、映画祭記録班スタッフ(複数人で分担しております!)が、佐藤忠男さんトークレポートをお伝えするウマー!

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今年一月、大島渚監督が亡くなった。映画祭では『愛のコリーダ』と『少年』の二作の大島映画が上映された。

『愛のコリーダ』は今から40年近く前に作られた。いわくつきのの作品で、当時話題となった。いわゆる阿部定事件、殺した相手の男根を切り取って逃げるという猟奇事件を扱った映画である。この手のハードコア映画は刑法に触れるおそれがあるので、どこも現像を引き受ける会社はない。そこで知恵を絞り、フランスからわざわざ生フィルムを日本に取り寄せて撮影し、それを未現像のままフランスに送って現像・編集した。うまいこと考えたものである。

日本では、ぼかしを入れたり、カットされた部分もあるが、上映された。今回はノーカット版の上映で、佐藤忠男さんのトークもあるということで、満員札留めとなった。

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佐藤さんの上映後のトーク内容を簡単に紹介すると・・・。
冒頭、「この映画はフランス映画である」と直球のコメントがあった。理由は日本でつくると猥褻罪が適用される恐れがあったからである。

そのあと、大島渚監督のデビューからこの映画を撮るまでの略歴についての解説。松竹を飛び出し独立プロで数々の名作、たとえば『絞首刑』を世に出したのだが、低予算で映画を撮るには相当の汗と知恵が必要であった。

大島監督は佐藤さんに「アイデアだけで勝負すると肩を壊す」と、野球のピッチャーにたとえて語ったそうである。ATG向けの低予算でレベルの高い映画を続けて撮るのはしんどい、何としてもメジャーで映画を撮りたいという気持ちの表れであった。そうしたときに、フランスからのオファーで制作したのが『愛のコリーダ』だった。

この手の映画は道徳観念からすればとんでもないし、興味本位とみられがちである。大島監督の考えは違っていた。女のためなら死ねる男を純粋に描こうとした。

死ぬまで愛を貫いたイキな男の物語である。女の阿部定の方も、生い立ちや育った環境を一切描かず、当人の思いや感情だけで描いた。このような男女の愛のありようを観客に示したわけである。

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佐藤忠男さんのトークの締めのことばが印象的であった。
「大島渚が単なるポルノを撮ったことでない証は、このあと上映される『少年』を観ていただければわかる。この映画は大真面目でつくった美しい映画である」(記録班・N)


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最後はおなじみ、シネマウマが登場〜♪ 佐藤さんとちょっとシュールな2ショット!


佐藤さんの興味深いトークと閉めの言葉に引き込まれて、引き続き『少年』をご覧になった方も多かったのでは?お配りしたフリーペーパーにも佐藤さんによる解説が載っています。併せてご覧くださいウマ☆

本日最後は、「東京フィルメックスinしんゆり」枠作品『ティエダンのラブソング』。昨年の東京フィルメックスの優秀作品を当映画祭で上映するもので、今年で4年目となりました。12日には東京フィルメックスプログラムディレクター・市山尚三さんをお招きしてのゲストトークも行われます。

以上、シネマウマの3日目現場リポートでした!
posted by シネマウマ at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2013年10月11日

映画祭2日目レポート

 初日に降り続けた雨も止み、少し蒸し暑い日。

この日最初の上映は『陸軍登戸研究所』

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これまであまり取り上げられてこなかった戦時中の事実に迫るドキュメンタリーということで、注目度も高く、前売券も完売、当日券も発売と同時に完売しました。

ご覧のとおりの満席御礼!

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なお、12日(土)のアートセンター小劇場での上映も前売券はすでに完売しております。

当日券は若干数となりますので、あらかじめご了承ください。

この日2本目の作品もドキュメンタリー。しんゆりでは3作目の上映となる池谷薫監督の作品『先祖になる』。岩手県陸前高田市に暮らす頑固だけど茶目っ気もたっぷりな木こりのおじいさん、佐藤直志さんの生きざまを追い、土地に根ざして生きる人間の心と力を伝える作品です。

上映終了後のトークのセッティングは、舞台中央にマイクが一本。

始まる前の司会者の紹介で「池谷監督は一人でお話しする方が面白いので、30分間マイクを預けることにします」とあり、今回のトークは聞き手を設けず、監督のひとり語りとなりました。

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「松山千春です!」

登場するやいなやかぶっていた帽子をとって坊主頭を見せてジョークを飛ばす監督。なるほど、自らしっかり観客を引き寄せてはじまったトークは映画と同じくらい面白い。

主に制作のきっかけや、撮影時のエピソードを通して、佐藤直志さんの人間としての魅力と、土地の暮らしと自然を守り続ける人々の信仰心についてなど、作品の心をより深く知ることができるお話を聞かせてくれました。

東日本大震災直後、まずはボランティアとして何かできることはないかと被災地を訪れた監督は、ご友人の勧めもあり、やはり撮ることになりました。そして陸前高田に向かいます。そこでは被災直後でありながらも、住民たちを元気づけるためのお花見が開かれていました。そのお花見の呼びかけ人が佐藤さんだったのだそうです。佐藤さんが言った「今年も桜は同じように咲く」という言葉に、しっかりとその土地に根ざして生きる生活者の言葉としての美しさを感じ、撮影した映像で、お花見の挨拶をする佐藤さんのたたずまいを見直しながら、撮り続けることを決意したのだそうです。

被災地を撮るというよりは「佐藤直志さんに惚れ込んで」約1年半をかけて撮られたこの作品。

いつ何時も明るく前向きに頑固に生きる一人の人間の生きざまから、土地に根ざして生きるということの尊さ、人として生きていく上で大切なことが見えてくる作品でした。

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3本目の作品は韓国のアクション大作『ベルリンファイル』。イオンシネマの大画面と音響にふさわしい、アクションシーンの連続に大興奮!

この作品は13日(日)10:00に川崎市アートセンター アルテリオ映像館でも上映します。
見逃した方はぜひこちらへ。

4本目は『カリフォルニア・ドールズ ニュープリント版』。今月で上映権が切れてしまう作品が、映画祭のプログラムとして、しかもシネコン大画面で観られるという貴重な一日となりました。

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女子プロレスのお話なので、試合のシーンがたくさん出てくるのですが、リングの上、試合会場の観客席の熱気がスクリーンを通して映画館中に伝わってきます。最後のチャンピオン決戦のシーンでは、客席からスクリーンに向かって拳をつきあげ声援を送りたくなってしまうくらいです。

「ドールズ最高!」

上映が終わると客席から大きな拍手がおきました。

この作品は11日(金)の夜19:20に川崎市アートセンター アルテリオ映像館にて上映します。しんゆりでは最後の上映。ドールズの勇姿を見届けてください!

 さて、映画館の外では、今日も映画祭スタッフとシネマウマが駅前チラシ配りに勤しんでおりました。

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前日までの雨もすっかりあがったので少し新百合ヶ丘駅周辺を歩いてみましょう。

曇り空の中に少しだけ顔を見せた青空とポスター看板です。

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線路沿いに見える映画祭の横断幕。

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ロマンスカーといっしょにパシャッ!

撮影場所は、映画祭事務局が入っている駅前のビルの一角。絶景ポイントです(あくまで映画祭にとっての)。映画祭の記録スタッフは、ここで走り出す小田急線と映画祭横断幕のツーショットをカメラに収めることが、いつの間にか毎年の恒例となっていました。

映画好きの鉄道ファンのみなさんもぜひ横断幕といっしょに撮ってみてください(笑)。ステキに撮れたらシネマウマにも見せてくださいね。

横断幕は会期中見ることができます。

今年は数年ぶりにイオンシネマ2日間連続上映いたしましたが、満席のプログラムも多く、大きな会場にふさわしい充実したものになりました。お越しいただいたみなさま、ありがとうございました!

現在、川崎市アートセンターにて映画祭は続いています。平日のプログラムもたくさんのお客さまで賑わっております。
3日目以降のレポートも更新し続けていきますので映画祭といっしょにこの日誌もチェックしてくださいね!

13日(日)の最終日までシネマウマも元気にみなさまをお迎えするウマ♪

 

posted by シネマウマ at 02:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2013年10月08日

開幕!初日レポート☆

こんにち馬!シネマウマです!

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いよいよ…

いよいよ開幕しました
19年目のKAWASAKIしんゆり映画祭!

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小田急線から見えますよー♪

初日はあいにくの雨。にも関わらず、ほぼ満席の回が続きました!

今年から、会場ではフリーペーパーをお配りしています
(一部店舗でも置かせていただいています)。
作品紹介だけでなく、映画祭の歴史やスタッフのいろんな思いを詰め込んだ内容。
お越しの際はぜひご覧下さいね!
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熱心にお読みいただいてる光景に感涙、、、

今年の目玉のひとつは「ナマステ!ボリウッド最前線」特集。

冒頭、白鳥あかね映画祭代表がインド風コスチュームで登場☆
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マサラの雰囲気で、皆さまにごあいさつさせていただきました!

1本目はそのインド映画特集のひとつ、『きっと、うまくいく』
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おかげさまでほぼ満席☆

終映後は拍手の起こる盛況、涙ぐみながら出てくるお客さまも!

『偽りなき者』で北欧の名優マッツ・ミケルセンの魅力を堪能した後は、当映画祭
初の3D映画『フラッシュバック・メモリーズ 3D』

踊り出したくなるほどかっこいいディジュリドゥと打楽器の音色にシビれる72分を
堪能後、いよいよ今年初のゲスト、GOMAさんと松江哲明監督をお迎えしました!
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松江監督は、当映画祭の母体・日本映画学校(現・日本映画大学)出身。卒業制作
『あんにょんキムチ』(第5回)に始まり、『童貞。をプロデュース』(第14回)
『あんにょん由美香』『ライブテープ』(第16回)と、何度もご来場頂いているのです!

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そしてなんと、GOMAさんとも、(ちょっと)つながりがあったことが判明!
「ここが家から一番近い映画館なんですよ。よく来ているんで。そこで自分が
上映されているという衝撃…感動しました」

「この映画に関しては、僕の考える余地を入れたくなかった」と松江監督。
GOMAさんの体験したことが自分には「わからない」。
その、「理解できない」ことを大事にしようと思った、そう思えたきっかけは
GOMAさんの奥さんの日記だったことなどを語りました。

この映画は「出会いの記録だった」とGOMAさん。事故の後、記憶がうまく
できない状況で、事故後に覚えた数少ない人が松江監督。
制作の過程で出会いがあり、映画に繋がっていくという経験をした今、一つ
ひとつの出会いを大事に受け取り、ちゃんと記憶にし、記録として残すような
生き方を心掛けているそうです。
「映画ができてから、いろいろ、スムーズになりましたね。これは今まで自分
がやってきた音楽という世界の中ではなかった広がり、生き方というか」

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過去と現在(ライブ映像)を3Dで同時に見せるという斬新な手法が話題になり
ましたが、お客さまからの質問も「両方とも(同じ)10月になったシーンは意味
を持たせたのですか?」など熱心な質問が多く寄せられ、映画祭らしい活気
溢れる空間となりました。

そして、プレゼントを渡させていただくシネマウマが登場ー!
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「前からキャラクターでしたよね」(松江監督)。覚えててくださり感激ウマ

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GOMAさんにお渡しできて感激☆ 期間中、ちょくちょく登場するウマー♪

急遽行われたサイン会も長蛇の列で大盛況。
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ミニシネマウマもあちこちでお迎えしますよ♪

GOMAさん、松江監督、そして足をお運びいただいた皆様、本当に
ありがとうございました!


続くボリウッド映画特集2本目『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』
「マサラ上映」。映画のダンスシーンに合わせてお客さんも歌って踊って鑑賞
するという、インド独自の鑑賞システム。

ゲストダンサーとして、Nourah(ノーラ)さん率いるインド・フュージョン・
ベリーダンス・アンサンブル「Jyoti(ジョティ)」と、この日のためにリハーサル・
ワークショップに参加した皆さん、総計17人のダンサーが登場、マサラ上映を
盛り上げていただきました。

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上映前に、ノーラさんによる振り付けのレクチャータイム☆

映画祭にとっても初めての経験で、どういう展開になるのかドキドキでしたが…
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杞憂でした!
色鮮やかな衣装のダンサーたちが計5回、ダンスシーンで盛り上げます!

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客席からも、クラッカーの音や歓声が飛ぶ!劇場全体が大盛り上がり!
こんな映画の見方があるなんて、マサラ上映、すごい!面白い!
主演女優の超絶な美しさにもクラクラ〜♪

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あれ?中央に見えるのは…

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やっぱり!飛び入りシネマウマ♪

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マサラ上映、最高〜☆☆


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ノーラさんと2ショット♪

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お客さまに新しい映画の見方を教わったような、幸せな気分でした!
ノーラさん、ダンサーのみなさま、お客さま方、ありがとうございました!

さあ、華々しい初日が終了。ぜひぜひ、「映画は人生をかえる?」かもしれない
作品に、そしてシネマウマに会いに来てくださいね!
お待ちしてまウマー!

最新情報は公式HPをご覧下さい。

おまけ

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撤収作業はスタッフ総動員で!
もちろんシネマウマも踊りの疲れもみせず(汗)お片づけ☆



posted by シネマウマ at 01:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2012年11月04日

【映画祭レポート】14日(日)アルテリオ映像館/「役者一代・役所広司」特集大盛況!&サイタマノラッパーで映像館がラップ会場に!

KAWASAKIしんゆり映画祭、今年最後のレポート。14日(日)アルテリオ映像館編です。

前半は今年の映画祭の目玉「特集 役者一代・役所広司」の2本。
『わが母の記』は副音声ガイド付上映で行われ、盛況を博しました。


2本目『キツツキと雨』も映画祭初日上映時(ワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘)
に続く満員御礼。沖田修一監督を迎えてのゲストトークが行われました。

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監督は初日も、役所広司さんに呼ばれてのサプライズ登壇。今年の映画祭会期中、二度
ご登壇いただいた唯一のゲストでした。

撮影中のエピソードを中心に繰り広げられたトーク。監督が話す撮影現場の珍プレー・
好プレー数々に、会場も笑いに包まれます。

物語の舞台、山の中にある、ゾンビ映画の撮影現場のシーンを撮っているときの様子に
ついて。小栗旬さん演じる田辺幸一は、その劇中内映画の監督です。劇中の撮影隊「田辺
組」を、沖田監督率いる現実の撮影隊「沖田組」が同じ場所で撮っているというなんとも
不思議な光景が浮かび上がってきます。
「僕が『ヨーイ・ハイッ』て言うと、小栗さんが『ヨーイ・ハイッ』て言って、小栗さん
が『カット』って言うと僕が『カット』って言う。鏡越しみたいでした。」
「一回、(沖田組の)撮影の方が小栗さんのカットでカメラを止めちゃって…。笑っちゃ
いましたけどね(笑)」。

そのうち田辺組でスタッフの役をしているエキストラの人たちが沖田組を手伝っていたり
と、わけがわからないことになっていたそうです。

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映画の中での印象的なシーンの一つ、露天風呂。撮影時はなんとマイナス1度!
俳優さんたちは濡れた体にタオル1枚での演技でした。
「ドバイ国際映画祭で上映したんですが、肌を露出していたので成人映画扱いになりました
(笑)。現場は(前作の)『南極料理人』より寒かったです。山の夜って冷えるんですよね。
とにかく役者さんを温めながらやっていました。大変でした」。

露天風呂で役所さん演ずる克彦と小栗さん演じる幸一が近づくところなんてとってもユーモ
ラスでしたね。
「お湯を透明にしてしまったので、見えないように役所さんが工夫したらおもしろい動き
になって、台本には無かったのですが、小栗さんも同じように近づいて、ノリでやってく
れました」

撮影は主に長野と岐阜で行われました。地元の方にもエキストラで出演してもらうため、
オーディションを行ったそうです。スナックのシーンで山崎努さんの相手役をした女性も
岐阜の喫茶店の本物のママさん。オーディションでは台本を使わず即興でしたが、その
演技はとても自然でお上手だったそうです。

客席からの質問で映画のタイトルを『キツツキと雨』にした理由を聞かれると、「オリジ
ナル脚本だったので、内容がわからないタイトル、呼びづらいタイトルがいいなと思って。
林業と映画、カチンコ(木)をたたく音、雨が降ると林業も映画も仕事が休みになるなど、
いろんな隠喩があるなと思ったので、映画を見た後に想像が膨らむと思って。あえてわか
りにくいのにしました」。役所広司さんもこのタイトルを気に入っていたそうです。

トークが終わると映画祭からのプレゼントが。

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あれ?シネマウマでなく…?

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スタッフ扮するゾンビから渡されました。

監督、どうでしょうか、ゾンビの歩き方…。
「本人がゾンビだと思えばいいんじゃないでしょうか(笑)」。
そして、小走りぎみのゾンビスタッフに監督から究極の一言、「ゾンビは走れません!」
沖田監督ありがとうございます!聞きたかったのはその言葉でした!

ちなみに

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ゾンビ前

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ゾンビ後の平本くんでした。

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監督、ご来場ありがとうございました!


アルテリオ映像館の今年のラストを飾ったのは『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』
入江悠監督、岩崎太整さん(音楽)、水澤紳吾さん(俳優・TOM役)がご来場。そして!
直前にご来場が決定した主演の奥野瑛太さん(俳優・MIGHTY役)、ラッパーで劇中ラップクルー
「征夷大将軍」のMC NO SOUNDを演じた回鍋肉さん、さらにさらに!IKKU役の駒木根隆介さんも加わり、
なんと6人がしんゆり映画祭に駆けつけてくださいました! 
前日、都内でオールナイト3作上映イベントでお疲れのところ、本当にありがとうございました!
シンユリノラッパーで盛り上げたスタッフも大感激でした。

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そして!

『2』上映時は「伝説のタケダ岩」でお迎えした映画祭。今年は、お客さまにブロッコリー
(手作り)を持っていただき、ブロ畑でお迎えしました!

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トークは、出演者の方々は入江監督をどう思っているか?という話題で始まりました。
TOM役・水澤さんは、餃子屋の店主を演じた緒明さん(監督)のコメント「入江監督はドSで
あり、ドMである」を紹介、「シリーズの中でどんどんハードルをあげることで、Sにも振り
が向くのかなあ、と思います」。

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左から入江監督、駒木根さん、奥野さん、水野さん、回鍋肉さん、岩崎さん

『1』に続く出演のMIGHTY役・奥野さんは、1作目には感じなかった監督の厳しさを感じた
そうです。「すげえ怖くて、『1』が始まってから5年間、あれ?こんなに怖かったっけ?
って。ハードルをどんどん上げて下さっていて、乗り越えさせるためにみんなを巻き込んで
…っていうスタイルは、入江監督ならではかなと思います」。

クライマックスの長回し・フェスシーンでは、MIGHTYが殴られる場面で「歯が折れてほしい」
と監督から要望があったとのこと。「メールで『いつ歯を折るの』って来たときは、ああ
『Sだなあ』って」。結局予算の関係で歯を折るシーンはなくなったそうですが、もし実現して、
NGを出したらどうなっていたのか?と、奥野さん。「でも、それを含めてそのシーンを撮りたい
という、映画に対する情熱、意気込みは本当にすごいなあと思いましたね」。

本作がシリーズ初出演の回鍋肉さんは、「(入江組は)『雑魚寝感』がすごいっすね。終わって
みんなで雑魚寝、みたいな」。音楽担当・岩崎さんは、「入江組の特徴は、『ご飯がおいしい』
ですかね」。監督の故郷・埼玉県深谷市での撮影は、インディペンデント映画なので弁当は出ず、
みんなで作るか、監督の家で食べるか、という状況。「みんな(撮影で)ヘトヘトになった後、
不思議な体験ですが…みんなで監督の家に行って、ご両親の手料理を振舞われて。
すごくおいしいんです。それをばくばくたべて寝るみたいな(笑)」。地元ボランティアの方に、
名物「煮ぼうとう」を振舞われるなど、本当に美味しそうなエピソード。

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「ドS」「ドM」と評された入江監督、「自分じゃわからないですからね…」。
「現場じゃ本当に厳しいですよ。やっぱり1シーン1カットが多いので、本当に一箇所でも
だめだった場合は当然(OKが)出ないので、緊張感は絶対。まあ、その緊張感がないと。
僕らが追い詰められないと画面にのらない、っていう部分を、ぎりぎりの限界まで求めてくる」
(駒木根さん)。

本物のラッパーである回鍋肉さんとの共演についても語られました。SHO-GUNGはラップも
歌い方も習って覚えてから演じるそうですが、回鍋肉さんたちのラップクルー「征夷大将軍」の
トラックは、歌詞はラップ指導担当で、『1』『2』では「伝説のトラックメーカー・タケダ
先輩」として出演もする上鈴木伯周さん・タカヒロさんが書いたものと、回鍋肉さんたちが
書いたものをあわせているそうです。

「『ここ、なんかいい言葉ねーなあ』なんて感じになったら、『じゃあ5分あげるんですぐ書い
てください』と。『5分て?』とか思ったんですけど」(回鍋肉さん)。「でも、そこがすごい。
それで書けるっていうのが。まじですげえんだなって」(駒木根さん)。「いや、それは俺も
びっくりしました。書けんだな、って思って(笑)」。

「一番ラップのスキルが上がったのはトムさんかもしれない」(駒木根さん)。駒木根さんと
奥野さんは普段からラップを聴いていたそうですが、水野さんは「僕はサザンオールスターズ
の大ファンで…。ラップ、ヒップホップというのを当時あまり聞いていませんでした(笑)」。

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「三部作の中で本作が一番暴力シーンが激しかった。これは意識して作ったのか、それとも
自然とシナリオを作っていたときにそうなったのか」という観客からの質問に、入江監督は
『3』の構想を練っていたときに遭った東日本大震災との関連に触れました。「たぶん両方
ですね。何か、すさみましたね、震災のあと。1作目はIKKUが実家でコタツに入って寝て、
公園行ってみかんくって、夢を見てましたけど…。何か違う。そういう社会がちょっと
変わって、もっと何かがむき出しになった気がしたんですよ。それが、意識している部分と
無意識の部分両方で変わって、3作目がこうなっていると思います」。

終盤の長回しフェスシーンの苦労話について、岩崎さんが語りました。「誰がどこで何をして何が
苦しかったっていうのは、監督以外はあの現場で一人も共有していない。みんな別の場所にいて、
車に監督が乗るために、階段を置くだけの人もいる。煙を出すところで、バルサンをバッとたく
だけの人もいる。僕は曲を同期させる役割、再生ボタンを一回押すだけなんですが、絶対にそれで
止めるわけにはいかないので…。大きい配給会社ではできない体験として僕らにも刻まれています」。
「ステージ上の僕ら3人は、音楽が鳴るまで、ずっとステージ上で立って待ってる。お客さんも
僕らのほう見ながらずっと立って待ってて、太整さんが音楽のスタートボタンを押したら一気に
動き出してっていう、あの待っている間がもうたまんなかったですね」(駒木根さん)。

本作の宣伝のために地方の多くの映画館を訪れて、今の映画館の現状を知ったという奥野さん。
「支配人の方々と経営のこととかお話ししながら宣伝して、それは僕にとっていい経験だったな
と思います」。今年の映画祭テーマ「映画よ どこへ─」につながる、名画座閉館の話になったと
ころで、突然!MIGHTYになって立ち上がり、ラップを披露してくださいましたー!
水野さん、回鍋肉さんも続き、お客さまはブロを振るー!
小劇場が興奮のライブ会場と化しました!

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最後に、シンユリノラッパーも乱入!サイタマノラッパー&シンユリノラッパー夢のご対面を
させていただき、感涙モノのラストとなりました!

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本当にありがとうございました!11月にはDVDも発売ですよー♪

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熱気覚めやらぬロビー、ファンの方々との交流が続きました

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SR隊の皆さま、「キツツキと雨」沖田監督も打ち上げにも参加してくださり
疲れも吹っ飛ぶ最終日でした!スタッフの皆さん、お疲れさまでした。

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以上、最終日・14日アルテリオ映像館のレポートでした。

今年のゲストトーク・講演はのべ20本。役所広司さん特集に始まり、100年前の映画、若手の
新しい才能、震災ドキュメンタリー、その他さまざまなジャンルの映画上映とトーク・イベントが
行われました。映画を観たあとに、実作者と観客がその映画について語り合う幸せな場。
映画祭の醍醐味を感じました。

足をお運びいただいたお客さま、ご来場いただいたゲストの皆さま、ありがとうございました!
来年もスタッフ一同、シネマウマとともにお待ちしております!

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(KAWASAKIしんゆり映画祭HP班・記録班)
posted by シネマウマ at 02:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2012年11月01日

【映画祭レポート】14日(日)アルテリオ小劇場/幅広いプログラム、熱気満載のフィナーレ!

連日盛況の第18回KAWASAKIしんゆり映画祭。いよいよ最終日を迎えました。
14日(日)、アルテリオ小劇場編レポートです。

この日は「区民まつり」も行われており、駅周辺から街全体がお祭りムード。映画祭も
ブースを出して盛り上げましたよー♪
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スタッフも疲労はピーク、しかし詰め掛けてくださるお客さまの姿に疲れも何のその!
スタッフルームのメモにも切迫感がにじむ…!
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受付の後ろに、今村昌平監督のパルム・ドール(2つ!)があったりします☆


初回は、第13回を迎えたジュニア映画制作ワークショップ発表会。脚本から配役、撮影、
編集などすべて中学生の手で制作するこのプロジェクト。今ではワークショップ出身の元
中学生が、ワークショップのサポートや、映画祭スタッフとして多く活躍しています。

今回は18分の映画『理想の代償』が上映されました。二人の男の子の身体が入れ替わると
いうユーモラスなストーリーと演技に、ほぼ満員の客席からは終始拍手と笑いが絶えませ
んでした。

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壇上に登場し、それぞれの担当と感想を述べる中学生14人「チーム:プリ’ミナンX」の
姿も堂々と誇らしげ。「すごい充実した夏休みを送らせていただきました」など、おおむ
ね満足そう?な感想が次々に述べられました。サポートの市民スタッフ、ワークショップ
出身のOB・OGスタッフも登場し、にぎやかな発表会でした。作品指導の熊澤誓人さん
(映画監督・日本映画大学講師)はじめ指導スタッフの方々、映画評論家・佐藤忠男さん
の講評、メイキング映像公開なども行われました。第1回から完成作を観ている映画祭
スタッフとしては、佐藤先生同様、その完成度の高さに驚くばかり。

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詳しくはジュニア映画制作ワークショップ公式HPにも当日の模様が紹介されていますので
あわせてお読みください。→こちら



続いてはドイツ南西部の小さな町・シェーナウ市住民の活動を取り上げた『シェーナウの
想い〜自然エネルギー社会を子どもたちに〜』
13日レポートでもお伝えした「3.11から
みる世界〜未来(あした)を変える」ドキュメンタリー特集のうちの1本です。
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チェルノブイリ事故のあと、シェーナウ市民が原発に反対し、既存の電力会社と戦い、
自分たちで電力会社を設立、市の方針を決める住民投票に臨む様子を追った作品。上映後、
建築家・彦根アンドレアさん、環境デザイナー・岩崎敬さんによるゲストトークが行われました。
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「『建築家』とありますが、普通の母としてお話したい」と彦根さん。昨年3月の震災後、
ドイツ本国から帰ってくるようにとの声もあった中、日本に残りました。9月にドイツに
行き、エネルギー作りについて学ぼうと思ったところでこの映画に出会ったそうです。
日本人11人を連れて再度シェーナウを訪れ、自然エネルギーの取り組みを見学した様子
などを語られました。

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岩崎さんは、プロジェクターを使って東日本大震災の復興を「街づくり」の視点から解説。
また、この映画の「街づくり」についても述べました。電力会社に自分たちの提案を拒絶
され、住民が電力会社の代わりに自分たちが代替案を作り、責任を取って変わろうという
点、また「ひとつの企業がすべての社会のインフラを担っているという巨大なひとつの
システムから、小さなものがいっぱい集まって、それがつながりながら社会を動かして
いく─多様性、柔軟性をもって危機に対応しよう、という社会全体の価値の転換のひとつを
これが実現させたというのが興味深い。(中略)ひとつの成功例があるというのは非常に
力強いこと、と街づくりを進める者としては感じました」(岩崎さん)。

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彦根さんもちょっとびっくり? シネマウマの登場♪

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ありがとうございました!

小劇場のラストを飾ったのは、『毎日がアルツハイマー』。大卒後オーストラリアに渡り29年、
2010年1月に母の介護のために帰国。認知症の母・ひろこさんと同居しながらその姿を追っ
たドキュメンタリー。YouTubeでの公開動画が反響を呼び、劇場公開が実現したものです。
ほぼ満員のお客さまの前に、関口祐加監督が登場、トークが行われました。

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家族を撮ることの難しさ、「娘としての自分」と「監督としての自分」の間にある思い、
帰国を決意した経緯などを語りました。帰国を決意する前に一度里帰りしたとき、ひろこ
さんの目の変化に気づいたそうです。「母の目には『恐怖』があった。それは私を29年間の
生活をたたんででも帰ってこようと思わせるものだったんですね。逆に言えば、29年間好き
なことをさせてくれたわけだから、母が必要なときに一緒にいよう、と」。

ひろこさんは小学校からほとんど首席だったほど優等生だったそうです。認知症は初期が
一番、イライラしたり家族にあたる時期だそうで、「自分がいろいろなことができなくなっ
てくるというのが許せない、受け入れられない、というのがあったと思います」。

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介護の心構え、発想の転換の大切さについても語られました。「『介護している』という
意識は、実は私はぜんぜんない。2年半の母との生活で一番思うことは、介護というのは
介護される母の問題ではなくて、介護する私自身の問題。500%そう思います。私たちの
対応でどうにでも変わる、私たちの考え方ひとつで物事は違って見えるということ。事象
というのはひとつで、例えば映画でも皆さんの価値観や人生で見方もぜんぜん違う。
介護もまったくそのとおりだと思うんですよね」。

オーストラリアと日本の介護の違いについては「(介護保険と在宅介護があることも含め)
日本のほうがずっと進んでると思います」。個人主義の徹底するオーストラリアは、子ども
が親を介護することは「まず、ありえない」そうです。しかし、「自分の人生は自分で落
とし前をつける」合理的な考えのオーストラリアに比べ、日本の介護は「ウェット」なと
ころがあるといいます。「一番最悪の介護は(お嫁さんでなく)子ども、そして子どもに
よる介護虐待の6〜7割は息子といわれている。なぜかというと、自分の親だから。
一人称になってると思うんですよ。『あんな立派だった母がなぜ!』と。(親の認知症を)
『情けない』と思うか、『面白い』と思えるか。一人称の介護は、介護する側を追い詰めて
いると思うんです」。

お客様からの質問は、どなたもご自身の体験に基づく介護の悩みと、関口監督にアドバイス
を求める内容。「私、映画監督です。介護の専門家じゃないんです…(笑)」と笑いを誘い
ながらも、力強いアドバイスを連発されました。
「遠くの親戚より近くの他人。助けてくれる人って意外と他人だったりするんですね。でき
ないことをカミングアウトして、いかに楽にずるく介護するか。それは介護される側を追い
詰めないことにもなる。『自分の精神を正しく持つ』ことが明るい介護につながると思うん
ですよね」。

苦労されながらも明るく話す監督の言葉の数々に、どんどん元気が沸いてくる!文字通り
腹を抱えて笑っている方もいらっしゃいました。会場が熱気に包まれ、ラストにふさわしい
場になりました。

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ナデナデしてもらったウマ♪

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関口監督、ありがとうございました!


若い中学生の感性、新時代の街づくり、明るい介護! いろいろな世界に連れて行ってくれる
映画祭っていいなあ!と、スタッフも改めて感動した、小劇場の最終日でした。
ご来場、誠にありがとうございました!
posted by シネマウマ at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2012年10月31日

【映画祭レポート】13日(土)アルテリオ映像館/日本映画学校卒業制作、東京フィルメックス、サウダーヂ!

さてさて、13日(土)アルテリオ映像館のレポートです。

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初回は、日本映画学校卒業制作作品『北風』『Voy!〜ある選手たちの戦い〜』を上映。

第一線で活躍する映画人を育成し、映画祭を全面的に支えてくれた日本映画学校は、
昨年4月の日本映画大学開学に伴い、来年3月に閉校します。今までの感謝と、今も
制作に励む最後の卒業生たちへのエールを込めて上映されたこの2本は、昨年度卒業・
第24期生の作品です。

上映後、『Voy!』のプロデューサー・森重智さん、日本映画学校校長・千葉茂樹さん
がゲストトークを行いました。本作は同校卒業制作として初めて副音声ガイドがつけ
られ、その制作過程などが語られました。

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『Voy!』はパラリンピック出場をめざすブラインドサッカー日本代表選手たちを追った
ドキュメンタリー。この題材を取り上げたきっかけ、ブラインドサッカーについて、
監督・プロデューサー・撮影・編集と4人で分担した制作過程、取材対象の生活に入り
込んで撮影する際の距離感のとり方などについて語られました。

印象的なタイトルの『Voy!』という言葉は、ブラインドサッカーでは頻繁に出てくる
用語だそうです。「守備のときに『Voy!』と声を出さなければいけないし、すれ違う
ときも言っていたり。意外と知られていないんだなと思って、タイトルとしては成功
だと思いました」(森重さん)。

本作は「映文連アワード2012」パーソナルコミュニケーション部門・部門賞を受賞。
映画祭準備期間中に飛び込んできた朗報でした。「何年にいっぺんぐらいのチーム
ワークのよさだった」(千葉校長)。一人ひとりが持つ能力をうまく役割分担し、
それが非常に功を奏したそうです。

本トークの司会を務め、長年にわたり映画祭の副音声ガイドを手がける滝沢春江・
当映画祭副代表は、「千葉先生から手伝ってみませんかというお話をいただいたとき
に一番嬉しく感じたのは、こんなに若い、これから映像制作に関わる方が『副音声を
作ってみよう』と思ってくださったこと」。映画の制作者自身が副音声を作るのは珍
しいそうです。サッカーの経験を持つ森重さんは、解説に専門用語を多く入れてしま
い、「サッカーを知らない二人がバシバシ、ここわからない、この用語わからない、
と言ってくれて、なるほど、と(笑)。そのように、ひとりでなくみんなの力を入れ
込んでやれたということが、この作品全体にいえると思います」。

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今後を聞かれ、森重さんは答えました。「単純にこの作品を広げたいというか…
ノーベル賞の山中さんもおっしゃっていましたが、賞を取ったのは、それはそれであ
りがたいんですけど、やはり広げられて、広がってナンボのものだと僕自身も思って
いるので。機会があれば、いろいろなところでガンガン流してもらって、いろんな人
に理解を深めていきたいと思っています」。
映画祭も、今後のますますのご活躍をお祈りしています!

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シネマウマからもエールを!


続いて『東京フィルメックス in しんゆり』。

3年前から始まったこの企画は、東京フィルメックスの全面的な協力を得て、前年の
東京フィルメックスで上映された作品を上映する特別な企画。
今年は前年グランプリを受賞した『オールド・ドッグ』を上映後、東京フィルメックス
プログラム・ディレクターの市山尚三氏による講演「映画祭におけるデジタル化の波」
が行なわれました。

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チベット人の監督によって、チベット語で撮られた作品は希少だそうです。ペマツェテン
監督は、元々チベット語で文学を書く作家として名をはせていた方で、映画を撮り始め
たのは後になってから。これまでも3本しか長編劇映画を撮っていないそうです。

チベット人の”魂”の象徴であるかのように、チベット犬が登場する本作。思想的、
政治的なにおいがする作品ではないものの、ほのぼのとした作品でもない。観る者の
心に何かを残して終わる本作に関して監督は特段の声明を発していないようですが、
「チベット人の心情を描きたい」と言っていたとか。深い深い意味が込められている
ように思います。

中国には映画の検閲があり、監督が市山氏に語ったことには、本作もシナリオ段階から
政府に提出、完成作品前の映像(ラッシュ)も政府が検閲したとのこと。政府の合格
サインが出ない映画は移動上映などで上映されることもあるようで、中国にはペマ監督
のように、まだまだ知られざる才能が存在する可能性があるとのこと。
東京フィルメックスが毎年発掘する、新たな才能に今後も注目です。

続いて、講演テーマ「映画祭におけるデジタル化の波」について。
世界の映画祭で今何が起きているのか。デジタル化の影響はどんなところに波及するのか。
この機会に当映画祭のお客様と一緒に考えてみたいとスタッフが市山氏に講演をお願い
していました。

様々な国際映画祭に関係されている市山氏ならではの具体的な事例と状況報告が数多く
語られました。

まず、東京フィルメックスでは、11月23日(金)より開催の第13回のコンペ作品と、
特別招待新作映画の20数本すべてがデジタル素材の作品だったそうです!昨年は全体の
40%がフィルムであったのに比べて、様変わりした今年の現状に市山氏も驚かれたとの
こと。今年のイタリア・ベネチア国際映画祭コンペ作品でも同様の事態が発生していた
そうで、18作品中フィルム上映は2本。うち1本は北野武監督の『アウトレイジ ビヨン
ド』。それ以外はデジタルで制作されていたそうです。

では、「デジタル素材」「デジタル化」=悪なのか? 
決してそういうわけでもない、と市山氏。

35mmで撮るにはプロのテクニックや制作費がデジタルよりも多く必要ですが、デジタル
は、いわば誰でも撮れる、便利なものでもあります。特に、デジタル化はアジアの映画
に大きな影響を与えたそうです。「デジタル登場の2000年以前と2000年以降、アジアの
映画は変わった」(市山氏)。

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かつて中国では、北京の映画学院を出て映画を撮影する、という道のりしか無かったの
ですが、そのプロセスを経ることなくダイレクトにデジタルで撮る、という地点から
スタートする監督が出現したのが2000年以降。「その中で傑作を残した代表的な監督の
一人が、『鉄西区』や『無言歌』のワン・ビン監督である」と市山氏。
(ちなみにワン・ビン監督の最新作『三姉妹(原題)』は、今年のフィルメックスで
上映されます!)

最後に、上映する側に「デジタル化」はどのような影響を及ぼすのか?
ここ数年、世界的に急速なスピードで進んでいるのが映画館のデジタル化。
日本の映画館の多くも、2013年中にデジタル化を完了する予定といわれています。
このデジタル化のキーとなるのが現在、ほとんどの一般のシネコンが採用している
DCP(Digital Cinema Package)というアメリカの規格。これは、世界どこでも同じ条件で
見られるという規格で、安定的な上映が可能ではある一方で、設備投資に費用がかなり
かかる点や35mmの映写機を撤去しなければならない、というDCP導入時の条件があるそう
です。

そして現在、多くのメジャー映画館がDCP”のみ”の上映にシフトしている、というお話
から、大きな転換期を迎えた映画上映の現在について市山氏は語ってくださいました。

「35mm映写機がないのに35mmの映画を作る必要があるのか、初めからデジタル素材で撮
ればいいのでは、という制作サイドにおける変化も予想され、DCPの設備が無い映画館や
映画祭が上映したい作品をや新作をかけたくても、DCPをかける上映環境がないから諦め
る、という状況が早くも来年にも起き始める」。

幸い、川崎市アートセンターは今のところ様々な上映形態に柔軟に対応できる環境が整っ
ていますが、それができない上映館は上映作品を限定せざるを得ず、中には廃業となる
映画館も数多く出ると映画業界ではまことしやかに囁かれているのです。

「商業原則に基づいて映画上映が行われている現状に対して、国がフィルムを守る、と
いう強硬策でも採らない限り、現在のデジタル化の流れは止められない。しかしながら、
こういったデジタル化の波の中でどのようにデジタル化に対応していくべきか、現在、
全国の上映団体を中心とした各地の人々が知恵を絞っている、その現状も観客の皆さん
には知ってほしい」というお言葉で講演は締めくくられました。

少し長くなってしまいましたが、映画上映を取り巻く現状をご来場いただいた皆さんに
もぜひ知っていただきたく今回の講演を行わせていただきました。ご来場いただいた皆
さん、市山さん、ありがとうございました。




『セイジ 陸の魚』に続いて、本日の最終上映は『サウダーヂ』。満員御礼でした。

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上映後は、自主映画制作集団”空族”のメンバーでもある脚本家・相澤虎之助さんと、
『ヘブンズ・ストーリー』(瀬々敬久監督)など様々な映画への出演で知られる俳優・
川瀬陽太さんをお迎えしてのゲストトークが行われました。

最初の話題は、舞台となった山梨県甲府市へのこだわりと、空族の前作『国道20号線』
から『サウダーヂ』へ続く制作秘話。

富田監督の故郷でもあり、『国道20号線』の舞台にもなった甲府市。『国道20号線』
撮影中、いま、この街はどうなっているのか撮りたいという思いと、その後行われた
1年間におよぶ甲府市に住む様々な人への取材から、『サウダーヂ』の構想が少しずつ
出来あがっていったそうです。

驚いたのは、その1年間の取材結果が『Furusato 2009』というドキュメンタリー映画
になっているということ!『国道20号線』と『サウダーヂ』をつなぐこのドキュメン
タリー、上映される機会は少ないようですが、いつか絶対に見てみたいですね!

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続いての話題は『サウダーヂ』の出演者について。
これまで素人を出演させてきた空族としては初めて、いわゆるプロの俳優さんを迎えた
そうです。そのプロの俳優さんというのが、川瀬陽太さん。

川瀬さんがお話してくださったのは、出演依頼を受けた当時の心境。
過去に空族の映画をご覧になっていた川瀬さんは、嬉しい気持ちがある反面、その土地
で生きてきた人や、実際に土木作業の仕事を経験されてきた人が出せる”リアル”と
職業俳優である自分の発するものとに齟齬が生まれるのでは…と、若干躊躇されたそう
です。

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そんな川瀬さんに「スタッフが少ない現場で、初日から川瀬さんにレフ版を持たせて
しまいました。現場になじんでましたよね。レフ版を持ってくださる、そんな川瀬さん
に、現場側は嬉しかったです」というエピソードを披露した相澤さん。
川瀬さんからは、セリフを頭に入れて撮影に臨む川瀬さんを見てプロの俳優ではない
主演の二人から「すごいっすね」と言われた、なーんていうおもしろエピソードが返っ
てきました。

”非・俳優”と”俳優”の見事なコラボレーションは、互いの違いを認め合いながら
一緒に一つのものを作っていく、そんな現場から生まれたのかもしれません。

相澤さんからは「取材した現実をいったん脚本にし、それをまた実際の土木作業経験
者やブラジル人などの当人たちが演じるおもしろさがある。つらい、哀しいだけでない
様々なものが入り混じった街の雰囲気を感じ、吸収しながら撮影することができた」
というお話もありました。

劇中のエピソードはきわめて事実に近いそうで、出演しているブラジル人ラッパーは、
実際に撮影中からいつ母国に帰るかわからない状態だったとか。
帰国が決まる前に急いで撮影した直後、突然母国に帰ってしまったという衝撃的な話も
明かされました。

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最後に、空族の作品がなかなかDVDにならないことに関して観客席から質問が飛ぶと、
相澤さんから「35mmで劇場で大きいスクリーンでみてほしい」「上映される場所にも
こだわりがあり、今日のように皆が集まって話せる場所が好き」「隣にだれが座るか
わからない映画館ならではの雰囲気を味わってほしい」という発言が。
空族の皆さんが持つ映画への想いは、上映される最後の最後まで強いようです。

また、相澤さんは映画祭の今年のテーマ「映画よ どこへ―」につながるお話も。
「『サウダーヂ』はデジタルで撮影したものを35mmに焼いて上映している。それは自分
たちがフィルムで育ってきた、フィルムが好きだから。貴重な財産であるフィルムが
捨て去られたり、ないがしろにされる風潮には腹が立つこともある。心にとどめてほ
しいのは、デジタル化の風潮はあるけれども、フィルムを残す=選択肢が増える、と
いうことなので、映画を見る側もそういったことを意識してほしいと考えています」。

映画への強い想いとこだわりを持った自主映画制作集団・空族。
しんゆり映画祭はこれからも彼らから目を離すまい、そんな思いを強くした一夜でした!

締めはやっぱり……

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キターー!シネマウマ君!

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満員御礼!空族万歳!

以上、13日(土)アルテリオ映像館からのレポートでした。
さあ、残るは最終日!
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2012年10月30日

【映画祭レポート】13日(土)アルテリオ小劇場/震災ドキュメンタリー特集

平日(9〜12日)も連日、多数のお客さまにご来場いただいた映画祭。
最終2日間(13日・14日)の模様をレポートします。今回は13日・アル
テリオ小劇場編
です。
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アルテリオ小劇場では、東日本大震災の記憶とその後の現実を語るドキュメンタ
リー映画2本を上映。震災直後から多くのマスメディアが足を踏み入れることを
ためらった場所に自ら進んで赴き、テレビや新聞の報道からは伝えられることの
なかった被災地の現実を撮り続けてきた2人の映画監督の作品を上映、その後
トークを行いました。

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1本目は佐藤武光監督の『立入禁止区域・双葉〜されどわが故郷〜』
震災直後から8ヶ月間、監督が高校時代を過ごした福島県双葉地域や、原発から
20km以内のほかの町村で暮らしていた人々の避難先に赴き、被災地の人々が抱え
る苦悩を撮り、声を聞き、まとめた一本です。

トークと合わせ、日々のニュースなどからは伝わってこなかったことをたくさん
知ることができました。本当に知りたいこと、知るべきことが、私たちだけでな
く、被災地の人にすら届いていない現実も見えてきました。

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冒頭、司会者(映画祭スタッフ)が、このトークの打ち合わせの際、監督から
「原発から何十kmも離れている東京近郊に住む私たちも、すぐに防護服を買った
方がいい」と言われたことに触れると、監督は、「原発を阻止するか稼働するか
という論議もあるが、それはそれ。今、もしかすると爆発するかもしれない。
爆発したらここはもうダメ。これが現実の問題。双葉では持っていなかったから
大混乱が起きてしまった」。

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そして富岡町の図書館長・小貫さんが壇上へ。震災直後の様子を語ってください
ました。勤務中に被災した小貫さんは、図書館のある建物がそのまま避難所に
なったので、手伝いをしながらそこで1日を過ごし、翌日、川内村や郡山に避難。
そのまま家には帰れなくなりました。原発事故のことを初めて知ったのは12日
だったそうです。

住民の避難は福島や郡山へ7、8時間もかかる大渋滞の中で行われていたとのこと。
もっと早く原発のことが分かれば防護服やマスクを備え、慌てずに済んだかも
しれません。

「情報公開が一番大事である」と監督は強く言います。「原発の稼働の是非を
問うのはもっともなことだが、それは近未来経済の問題であるということを認識
せねばならない」。
まずは目の前の現実を見ることが大事、と改めて気づかせてくれるお話でした。

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左から松林監督、佐藤監督、小貫さん

「僕のドキュメンタリーのお師匠さん」と監督に紹介され登壇したのは、この次
の回に上映された『相馬看花』の松林要樹監督。日本映画学校では佐藤監督の教
え子でした。震災直後、佐藤監督がいわき市の実家へ帰られたのを知った松林
監督は、数日後「(僕も)一緒に行きますよ」と声をかけたそうです。

震災直後は車でも26時間かかった福島県。ガソリンの問題も浮上しましたが、
松林監督はすぐガソリンも工面してくれたそうです。そして九州出身でありな
がら、南相馬を撮った松林監督の意識の強さに感心。同時期に、福島県浜通り
地区に密着した映画を撮った、日本映画学校の人としての因縁を感じたそうです。

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さらに、監督の高校時代の同級生で、双葉町を出て長年東京で暮らす女性3人も
登壇。彼女たちは震災後、故郷へ帰ることができません。
「新聞で、原発から4km以内の航空写真の中に、自分の家を見つけた。崩れて
いなかった。懐かしく、いとおしく感じた」「母に連絡して『規則が緩んだら
行ってみたい』と言った。母は(自宅の)お墓が荒れた状態を目の当たりにして
涙を流していた。まだ来ないほうがいいと言われるが、行きたいと思っています」
「どんなことでも起こるんだなっていうことが身にしみた。何があっても生きて
いくしかないかな。後ろばっか向いていてもしょうがない」。

ちょっと同窓会のような和やかさにも包まれましたが、彼女たちの話からは、
帰郷できない寂しさや、離れたところから故郷の苦悩を見ることでわいてくる
複雑な心境がひしひしと伝わってきました。

客席からは質問も飛び出し、最後に佐藤監督が、全国民が今、日本で起こって
いる問題に対して意識を持って議論し行動しなければならないと、訴えました。



トークに続いて、女優の秋元紀子さんによる「原発難民の詩」という詩集の朗読会が
催されました。この詩集は仮設住宅で踊りの師匠をしている佐藤紫華子(しげこ)
さんが、震災直後から書きためてきた詩をまとめたものです。

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今回のトークにも参加いただいた富岡町の図書館長・小貫さんがコーディネート
し、出版されることになりました。佐藤監督は佐藤紫華子さんについて、「震災
直後に詩を書きためるエネルギーも素晴らしいが、(今年6月に)500人もの人を
集めて踊りの発表会をやった、そのエネルギーがまた素晴らしい!」と讃えて
います。そんな監督の薦めで今回の映画祭での朗読会が実現しました。

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終了後もロビーには監督を囲む人の波


続く2本目は、『相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶』

震災から3週間後、警戒区域・福島県南相馬市に入った松林要樹監督が、避難所
で共に寝泊りしつつ、住民の揺れる心に迫った記録です。

上映後、松林監督と、映画に登場した南相馬市市議会議員の田中京子さん、
夫で元JAそうま農協理事の田中久治さんが登場、ゲストトークを行いました。

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映画冒頭・3畳一間の自室で地震の揺れを記録するシーン、被災地に赴いた
きっかけ、タイトル『相馬看花』の意味などについて、松林監督が語りました。

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支援物資を届けに南相馬に入った監督を、荷物受け取りの立ち合いで迎えたのが
田中京子さんでした。「それからのご縁で、こめつきバッタのように、本当に
ずっと田中さんにひっついて撮影していたら、いつのまにかこの映画になった」
(松林監督)。当時、大手マスコミは原発から30km圏外からの電話取材がほと
んどで、20km圏内の取材はフリーか外国の記者以外おらず、情報がまったく無か
ったそうです。

ドキュメンタリー監督にカメラを向けられることに対して、田中さんご夫妻は
どう思われていたのでしょうか。京子さんはホテルに救援物資を取りにいった
時のことを語りました。

「『今の若者は』などと言いますが、行ってみて、今の若い者は頼りになるなあ
と、神様のように見えたのが最初でした。そこに監督さんが乗って来ているのも
まったく知りませんでした。最初は迷ったんですが、自分ではどうしても震災
後、カメラや携帯のシャッターを押すことができませんでした。それで、監督が
『大丈夫だよ僕が切ってやるよ』ということで、素直に、すんなりと『お願い
します』と、いうことで始まったんです」(京子さん)。

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ドキュメンタリー映画とテレビ報道の違いについて聞かれ、監督は田中さん
ご夫妻が、一時帰宅で持ち出す荷物をめぐり言い争うシーンを例に挙げました。
「たぶんニュースだったら『一時帰宅が行われました』と、一言ですよね。で、
持ち帰ってきたものを聞いて、『一時帰宅できてよかったです』のコメントを
取って、チャンチャンで終わるんですが、『そこで何がおきたのか』というとこ
ろがやってみたかった」(松林監督)。

その夫婦喧嘩シーンについて説明する久治さん。避難先のマンションに何も無く、
帰宅して帽子をひっかける竿に使おうとしたものや、書類を持ち出したところ
を京子さんにとがめられたそうです。「まあ迷惑だったとは思うんですけど、
たぶん、会場のお父さん方もそうなさると思うんですけどね。ひとつご理解くだ
さい(笑)」(久治さん)。
「あの荷物を持っていける部屋数が無いんです」(京子さん)。

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少々笑いを誘うシーンの再現に、会場からまた笑いが。映画には住民たちが笑う
シーンが多くありますが、監督は、皆さんは決して楽しくて笑っているわけでは
ないと強調。しかも、緊張を紛らわすために笑うしかなかった住民の方々が今、
笑えもしない状況にあるといいます。
「この映像は去年8月までの映像で、どうにかがんばろう!というのがあるんで
すが、どんどん、ますます先が見えない。そうなると本当に笑いでもごまかせな
いような状況になってきている、というのが今の実感なんです」。

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「原発事故はこれほど人をつらい目にあわせるということをぜひ広めていただ
きたい」という観客の声に、京子さんが原発事故直後の様子を語りました。

逃げ込んだ建物の窓ガラスすべてに目張りをしたこと、若い人を先に福島まで
避難させたこと(九治さんが若者を連れて逃げ、京子さんが高齢者と一緒に残っ
たそうです)、家族が別れるときは涙の別れだったこと、「2、3人いればいいほ
う」という状況で、無人の火葬場で次々遺体が火葬されたこと、お菓子屋さんが
くれた落雁を、後の人にも残るようにひとつずつお供えしたこと……。
同じ日本で起きたこととは思えない話に、会場が静まりかえりました。

「皆さんの近くにも双葉、相馬から来た方もいると思いますが、温かく迎えて
いただきたい。大きな気持ちで見守ってもらいたいと同時に、小さくても皆さん
一人ひとりの心がけで、その輪を広げていただければなあということをお願いし
ておきたいと思います」(九治さん)。

「上映会には必ず自分も立ち合いたい。インターネットで見た情報と、現場の
情報は違う。そのきっかけになってほしい。南相馬に行く前、行った後でも、
去年の4月の状況はこうだったというのがわかる映画だと思います。今後も、
この映画、次の映画も背負っていこうと思いますので、よろしくお願いします」
(松林監督)。

松林監督の力強い言葉と、苦境を訴えながらも、全国から駆けつけたボランティ
アの方々への感謝の言葉を繰り返す田中さんご夫妻の姿が印象的でした。

「3.11からみる世界〜未来(あした)を変える」と銘打った今年のドキュメン
タリー特集。震災後の日本社会、福島の現状、原子力発電…何かを考える契機と
なっていただければ幸いです。

以上、13日「アルテリオ小劇場」レポートでした。


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2012年10月27日

【映画祭レポート】9日(火) 今日は名画座の日

3連休明けの火曜日。
朝一番の上映作品は
とても貴重な初期のドキュメンタリー長編『アラン』
アイルランドの小さな離島、厳しい自然に囲まれながら暮らす島の人々の
営みが圧倒的な映像で綴られています。
映画館で観られる機会は非常に少ないです。
ということで、平日朝早くからたくさんのお客さまが詰めかけまして、
なんと満席でございます。

上映終了後は、映画評論家の佐藤忠男さんによる講演でした。
今年のテーマは「ドキュメンタリー映画史」。
『アラン』をはじめ数々のドキュメンタリー映画の歩んできた歴史をたどり
ドキュメンタリーの作られ方や作品の魅力を解説していただきました。

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佐藤さんの講演が終わり、外へ出てみると、あれれ?
どこかで見たことありそうな、道化師さん。
これから上映する作品のお客さまをお迎えしています。

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午後の2回目の上映はフランス映画の大作
『天井桟敷の人々』

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この回の上映もたくさんのお客さまが来ていました。
外にいたのはこの映画に登場するバチストさん?

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休憩時間もパンフ配りを手伝ってくれたり、ファンサービスに精が出ます。

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上映終了後、お客さまたちをお見送りし、静かに去っていくバチストさん…
に、扮したパントマイム役者のNani-Soleさんありがとうございました。


この日3回目の上映には
1970年代代表のアメリカン・ニューシネマ『イージー・ライダー』が登場!
フィルムの状態が芳しくなく、急遽Blu-rayでの上映となってしまいましたが、
客席半分は埋まり、この名画の魅力は確かなものだと改めて実感。

上映終了後は3Fコラボレーション・スペースにてトークショー。
東京の飯田橋ギンレイホールに勤務し、社内の「映画キャラバン隊」
というプロジェクトの企画部長をなさっている藤永一彦さんをお迎えし、
ユニークな名画座の活動をたっぷりお話していただきました。
映画を観終わった後の劇場内ではなく、オープンスペースだったので、
雰囲気はなごやか。

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飯田橋ギンレイホールは、都心で残っている数少ない名画座です。現在、
ロードショー公開後の作品を上映する2番館として営業中。
1974年に、2本立て上映の名画座としてスタートしました。
今回上映された『イージー・ライダー』や『フレンチ・コネクション』などの
アメリカン・ニューシネマや、アクション映画、もっと古いアメリカの映画、
『男と女』『昼顔』といったフランス映画などの世界の名画をたくさん上映
してきました。
当時のギンレイホールの上映作品リストも持ってきてくれた藤永さん。
読み上げる作品タイトルに、映画好きのお客さんからは「懐かしい」と、
うれしい声がもれました。

藤永さんご自身も上京後に名画座でたくさん映画を観てきた映画ファン。
『イージー・ライダー』も90年代のリバイバル上映時に一度ご覧になって
いたそうですが、実はこのトークの前にも人生二度目のご鑑賞。
今回のBlu-ray上映、ご覧になっていかがでしたか?
「正直、良かったです。……もちろんあせた35mmフィルムでも十分伝わる
のですが、他の映画でも何でも35mmを観たことがあって、フィルムを知って
いれば、ある程度想定しながら観られる。映画をしっかり観るという点で、
デジタルで上映されることは問題ない、という言い方は変かもしれないけれど、
いたしかたないのかなという気がします。観られないよりは観られた方がいい
ですし。ただ映画祭など何かの機会があれば、35mmフィルムの上映で補うよ
うな体験もできればいいと思います。」

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映画キャラバン隊の活動は、
フィルムの映画がこれからも上映できるようにすること、昔から続く映画の
文化を廃れさせないことです。
機材の収集や保存、技術者の育成、さらにポスターやスチル写真などの映画
資料を保存し、これらを仙台や金沢をはじめ各地で移動上映会を催すなどして
活用し続けています。
まずはギンレイホールで使用していてそのうち入れ替えなどで使わなくなった
映写機やポスターを、メンテナンスしながら保存することからはじまりました。
そのうち他の映画館からも、同じような状況で廃棄されそうになっている
古い映写機を集めるようになりました。
特に珍しいもののひとつにカーボン映写機があり、元々使っていた技術者の方から
「これからも映写を引き継いでほしい」という思いとともに引き受けたそうです。
通常の映写機の光源はキセノンランプですが、カーボン映写機の光源は炭素棒です。
2本の棒をスパークさせて、放電した光が映写の光源になるそうです。

最後に、デジタル化する今後の上映環境をどのように受け止めていくのか聞いてみました。

「お客さまが観たいものがデジタルしかなければそれに対応せざるを得ません。でも、
フィルムの上映機会もほしいので一緒に置きたいと思います。実際フィルムの配給も
なくなっていくので、ホールとしても対応を検討しています。
デジタルに移行することで35mmのフィルムや映写機が貴重であるという価値が浮き
出ると思います。映画を観るのにフィルムでなければいけないということではないので、
どういう形で映画を観てもいいと思います。重要なのは良い映画を見ること。
あった環境の中で映画を見る機会を作っていく、観客として映画を観る場を得ることが
大切だと思います。ただフィルムとしての財産はたくさんあるので、全く失うことは
あまりにももったいない気がします。」

お客さまの中には、どんなふうに古い機材などを保存するのか、興味津津の質問も出たり、
短い時間では語り尽くせない藤永さん、まだまだお話を続けて欲しかったです。
トークのおしまいのほうで、ちょうどこの日の上映最終回の『おとなのけんか』
の入場時間がきてしまいましたが、こちらのお客さまの中にも熱心にギリギリまで
聞いてくれた方がいらっしゃいました。

平日から濃い内容の上映とトークで、
たくさんのお客さまにお越しいただき、良い形で1週間のスタートを切りました。
posted by シネマウマ at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2012年10月22日

【映画祭レポート】8日(月・祝)青空市場も開催!連休最終日

8日(月・祝)、3連休最終日のレポートです。

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朝のミーティング。全員集合は朝だけなので、打ち合わせはここで行います

この日は映画祭と平行して、会場・川崎市アートセンター前広場で、新鮮な野菜
などを販売する「青空市場」が開催されました。

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シネマウマも興味深々?

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連日大忙しの白鳥代表もお買い物♪

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つられてシネマウマもお買い物♪

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アルテリオ映像館では「家族ゲーム」「シグナル〜月曜日のルカ〜」「KOTOKO」
「縄張はもらった」、アルテリオ小劇場では「毎日がアルツハイマー」
「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」を上映。

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「シグナル〜月曜日のルカ〜」上映後、谷口正晃監督と主演の三根梓さんによる
ゲストトークが行われました。「映画よ どこへ─」と銘打った今年の映画祭で、
フィルム映写技師が主人公の本作はぜひ取り上げたい一本でした。

三根さんが入場すると、「この力強い目を持った女の子なら(主演を)やれると
思った」と谷口監督に言わしめた目力とその美しさに、会場からため息が。

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謎を秘めた映写技師・ルカを演じた三根さんは、本作が映画初出演・初主演。
聞き手の白鳥代表は、映画人としてはもちろん、早稲田の先輩でもあります。
同じ早稲田の後輩・吉永小百合さんのエピソードも交え、話を伺っていました。

クランクイン前に演技の稽古と平行して浅草の劇場に通い、映写機にフィルムを
かける練習をしたり、常にフィルムを触って手になじませるようにしていたとのこと。
「その1ヶ月は、演技と映写のことで頭がいっぱいでした」(三根さん)。

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フィルム上映が減る今のタイミングで本作を完成させた意味を聞かれ、谷口監督は、
現場や劇場のデジタル化の流れは止められないが、何でも数字で語られてばかりで
大切なものを失っていないかという気持ち、デジタルよりもアナログを大事にしたい
気持ちも映画にこめられているとのこと。

「そういう(効率的な)ことばかりに走る世の中に少し、立ち止まってものを考え
よう、と言いたい思いはあります」(谷口監督)。

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恒例、シネマウマがプレゼント贈呈。お客さまの拍手も日に日に大きく…


女優初挑戦のシンガー・ソングライターCoccoさんの主演作「KOTOKO」
上映後は、塚本晋也監督によるゲストトーク。
「人前に出るのが久しぶりなんです」という塚本監督でしたが、お客さまからも
多くの質問が飛び出し、にぎやかなトークになりました。

塚本監督は上映前に会場の音をチェック。「今日は本当に理想的な音です」と
お墨付きをいただいた上映でした。

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ベネチア国際映画祭の初上映(オリゾンティ部門グランプリほか受賞)から1年
以上続く上映における国内外での観客の反応、Coccoさんと出会い映画製作までに
至る経緯、製作過程で他の映画と異なる点、音へのこだわりなどが語られました。

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Coccoさんには15年前のデビュー時から「いつか映画に出てもらいたい」という
思いがあったそうです。限られた時間の中で「その瞬間の状況を切り取る」手法
で物語を作ってゆく過程では、当時亡くなった監督のお母様のことや、クランク
イン直前の東日本大震災などが影響しているとのこと。

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高校の授業中もフィルムのコマをノートに書いていたという監督、「フィルムへ
の偏愛」についても熱く語りました。「ワープロが登場したときに、小説家の人は
『心が消える』などと言っていたが、今ではほとんどの人がワープロを使うし、
別にそれで小説が悪くなったわけではないですよね」。

しかし、技術の向上で自分もデジタルを選んでいるとはいえ、「過渡期かもしれ
ないけれど、やはり『フィルムへの偏愛』は今も消えないです」。


シネマウマが登場すると、さすが!すぐにシネマウマの模様が16oフィルムで
あるとお気づきに♪それなのに、プレゼントをお渡しするときに距離がつかめず、
プチ頭突きをしてしまいました!

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失礼いたしましたー! 監督、これに懲りずにまたいらしてくださいね!
最後まで笑いの絶えない、内容満載のトークでした。




この日最後のゲストトークは「スクリプター・白鳥あかねの映画人生50年+ 
日活100年の思い出を語る」枠の「縄張(しま)はもらった」

「白鳥あかね」は本映画祭代表ですが、脚本家・スクリプターという映画人として
の「白鳥あかね」の世界を堪能したトークでした。

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早稲田の同級生だった長谷部安春監督(「べーちゃん」「あかね」と呼び合う仲)
の長男で脚本家・作家のハセベバクシンオーさんを招き、長谷部さんの人となりや
思い出、当時の日活撮影所についての話が弾みました。

小林旭、宍戸錠、二谷英明、藤竜也、梶芽衣子など、石原裕次郎を除く日活スター
総出演、1968年作の本作は、日活アクションの最高傑作と評されることも。
日活が、経営難に伴う「日活ロマンポルノ」路線(1971年)に転化する直前の
作品であり、「撮影所自体がやけくそになっていたような。オールスターを
使ってべーちゃんに好きなように撮らせたような、やけくそのエネルギーを
感じます」(白鳥代表)。

ハセベさんは、子どものころ、梶芽衣子さんや藤竜也さんなどがよく家に遊びに
来ていたエピソードを披露。「独りで留守番していたら、藤さんが上下白いスー
ツで立ってて。『藤が来たと伝えてください』と言われたり(笑)」(ハセベさん)。

「東映と違って、日活は俳優とスタッフ同士が友達づきあいで、ファミリーの
ようだった。当時の映画会社のカラーがあったなあと思います」(白鳥代表)。

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以上、3日目、8日(月・祝)のレポートでした!


※おまけ
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スタッフ控え室には名前を書いた弁当、コップ、食べ物で溢れています。

みんな忙しいので、とりあえず予約しておくのです。



posted by シネマウマ at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2012年10月20日

【映画祭レポート】7日(日)活弁、トーク、盛りだくさんの川崎市アートセンター初日!

7日(日)、映画祭2日目レポートです。

この日から、映画祭会場は川崎市アートセンターです。
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並木の色が、秋の訪れを感じさせますね。

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アルテリオ映像館では「ロボット」「シグナル〜月曜日のルカ」「勝手にしやがれ」
「セイジ 陸の魚」が上映されました。

「勝手にしやがれ」上映後に、「シネマテークたかさき」支配人・志尾睦子さんによる
ゲストトーク「デジタル化ーシネマテークたかさきの取り組み」が行われました。
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高崎映画祭代表・総合ディレクターでもある志尾さん。1987年創設の同映画祭は第26回を
数え、KAWASAKIしんゆり映画祭の先輩格的な存在です。

第13回時に学生ボランティアスタッフで参加し、今や映画祭と、市民主体で立ち上げたミニ
シアター「シネマテークたかさき」も運営する志尾さんのお話は、お客さまのみならず、
市民スタッフにも興味深々の内容でした。

シネマテークたかさきにも押し寄せた昨今のデジタル化の波、その上で「映画館を残す」という
道を選んだこと、最盛時は上映本数85本を数えたという高崎映画祭を続けてきた意味など、
一つひとつのエピソードがKAWASAKIしんゆり映画祭や映画館関係者に響くもので、永久保存版の
内容。

お客さまには「映画館のデジタル化」の問題は、少しわかりにくいのではないか…と思っていた
ところ、「いつも10月になるとしんゆり映画祭を楽しみにしている者です。映画祭の運営が大変
という話を聞いて、ぜひ続けてほしいと思っているのですが、観客の私たちにお手伝いできる
ことはあるのでしょうか(要旨)」という質問が上がりました。

それを受けて、客席にいた白鳥代表が「涙が出るほど嬉しい質問」と、ボランティアスタッフの
現況と、続けることの意義を語るなど、お客さまも映画祭(映画館)を支えていることを改めて
実感した一幕でした。

「『映画館をやっている意味はあるんだろうか』と考えると落ち込むけれども、やはり、悲壮感
漂うところにお客さまは来ないと思うんです。私たちが引っ張って、『映画って面白いですよ』と
言い続けることが一番大事。映画館も映画祭も、絶対に閉じてはいけないと思うんです」。

「(映画祭創始者の故・茂木正男さんが)『絶対に休んじゃダメだ、止まったらそこでまたそこで
ゼロになってしまうから。とにかく、苦しくても止まってはいけない』と言い続けていて、今、
そういうことなんだ、って思います」と、続けることの大切さを説く志尾さん。

続けた上で市民の理解も深まり、代理出席の多かった授賞式にも今や多くのゲストが来てくれる
などの結果が現れているそうです。

ちなみに、KAWASAKIしんゆり映画祭は今回で第18回。「第18回のころは、高崎映画祭も転機の
ころでした(笑)」(志尾さん)。

最後にシネマウマくんたちが登場!「うちも真似したい」と志尾さん。シネマウマも継続、進化、
前進あるのみ!

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ところ変わって小劇場では二本立て「月世界旅行」「アントニーとクレオパトラ」を上映。
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ボランティアスタッフ・松下君の力作は映画祭終了まで会場を彩りました♪


昨日に続く満員御礼が出ました。ご来場ありがとうございました!

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ジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」は1902年、「アントニーとクレオパトラ」は1913年作。
100年前の映画を大画面で、しかも活動弁士・澤登翠さんの活弁と、新垣隆さんのピアノ伴奏
付きという贅沢、至福の映像体験でした!

奇術師で人を驚かせるのが好きだったというメリエスが100年前に作り上げた物語は、まさに
奇想天外でユーモラス! えー!ロケットが目に刺さるの!? 何あの異星人??

11分と短い時間が嘘のように、会場全体が「映画史上初のSF映画」に見入りました。

続く「アントニーとクレオパトラ」はローマ帝国とエジプトを舞台にした壮大な歴史物語。
100年前とは思えない、躍動感あふれる活劇でした。

上映後、澤登さんを迎えてのゲストトークが行われました。日本を代表する弁士として国内外で
高い評価を受ける澤登さんは、「生れてはみたけれど」(第6回)、「キッド」(第8回)、
「男性と女性」(第17回)に続き、KAWASAKIしんゆり映画祭では4回目の登場。
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「クレオパトラは『美人』のイメージがあるのに、この映画では……ちょっと太めですね?」と
いう白鳥代表の質問に会場から笑いが。確かに、この映画のクレオパトラはちょっとぽっちゃり系
で、奴隷役の女優さんのほうが美人……。

「無声映画では『やせているのが美』という認識はない気がします。また、イタリアの映画
なので『ローマの敵、悪女』というイメージで作られたのでは?ローマ人のクレオパトラ観が
投影されていたのでは」と澤登さん。「クローズアップが無い」など無声映画の特徴や時代背景、
活弁のセリフをつけることの苦労、声色の変え方などを、ときにセリフを披露しながら語って
くださいました。

当時きちんとした映画用台本はなく、口頭で監督が伝えていたのではないか?という話から、
白鳥代表もマキノ雅弘監督や山田五十鈴さん、森繁久彌さんの現場に見習いで付いたころの
エピソードを披露。映画の知的好奇心が刺激される対談でした。

「無声映画は当時の人々の考え方、風俗、歴史、文化がいっぱい詰まっている。楽しみながら
いろいろな発見ができるので、ありがたい仕事をさせていただいていると思っています」
(澤登さん)。
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インドの超絶トンデモストーリーに始まり、映画館や映画祭についての熱いトーク、
100年前の映画、などなど、アートセンターは初日からもりだくさん。シネマウマくんの認知度も
上げていきたいな。以上、7日(日)、2日目レポートでした!
posted by シネマウマ at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート

2012年10月12日

【映画祭レポート】10/6(土)役所広司さんほかを迎え、ワーナー・マイカルで華々しく開幕!

今回は、10/6(土)初日の模様をレポートします!
(当日レポートはカテゴリ「映画祭レポート」をお選びください)

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第18回KAWASAKIしんゆり映画祭、開幕しました!1-DSC02912.JPG


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皆さま、楽しんでいただいてますか? シネマウマには会っていただけましたか?

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初日の会場はワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘。

今日は、今年の映画祭の目玉「特集・役者一代・役所広司」で上映される4本のうち、
『Shall we ダンス?』『キツツキと雨』『東京原発』の3本を上映。
役所広司さんご本人も来場とあって、初日からスタッフも気合入りまくりです。

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連日、トーク司会に挨拶にと大忙しの白鳥代表♪

映画祭・白鳥あかね代表の挨拶に続いて上映された記念すべき1本目は、
不朽の名作『エデンの東』
同劇場では半年ぶりという35mmフィルム上映です。
朝早い上映時間にもかかわらず、たくさんのお客さんが足を運んでくださいました!
ジェームス・ディーンの人気は不滅であることを実感。

大スクリーンに登場する美しいジェームス・ディーンの姿に胸が熱くなります。
過去にも『アラビアのロレンス』『2001年宇宙の旅』などなど、同会場で過去の名作を
大スクリーンで上映してきましたが、本当に大画面、大音響の迫力です。

華やかに1作品目が終了。会場もいよいよ盛り上がってきました。

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2本目『Shall We ダンス?』には、なんと、急きょ周防正行監督がご来場ー!
舞台挨拶と、短時間でしたが、トークを行っていただきました。

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周防監督の最新作『終の信託』(10月27日公開)には、この『Shall We ダンス?』以来16年ぶりに、
役所広司さんと草刈民代さんが共演。『終の信託』では役所さんは喘息患者の役で、
ユーモア満載の『Shall We ダンス?』とはテイストの異なる作品ですが、監督は、
喘息で倒れる役所さんの演技に心底、驚かされたそうです。

『Shall We ダンス?』では、すでにダンスの特訓を積んだ役所さんが、本当の初心者のように
たどたどしいステップを踏む姿に驚いたエピソードも披露、特集最初の1本にふさわしいトークを
飾ってくださいました!

本作を初めて観る若いお客さんも多かったようですが、いかがでしたか? 

周防監督は、第2回(1996)の『シコふんじゃった。』以来、映画祭には2度目のご来場、
こちらもちょうど16年ぶりです。前回のこともよく覚えていてくださって、スタッフも感激でした。


3本目は、役所さんが木こりの男、ゾンビメイクのゾンビも演じた『キツツキと雨』
満席の場内で、上映後に行われたゲストトークでは、いよいよ役所広司さんご本人が登場!
白鳥あかね代表を聞き手に、熱く40分、語っていただきました(白鳥代表は『油断大敵』の
現場で役所さんとご一緒しています)。

役所さんは、1997年「うなぎ」、2001年「ユリイカ」上映時に続き、3度目のご来場です。

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「あんなに楽しそうにゾンビをやる人を見たことない」と白鳥代表。
役所さんは「マイチェーンソー」もお持ちだとか。役作りのこと、小栗旬さんや沖田監督のこと、
昔と今の撮影現場の違いなどを語ってくださいました。

「今は、ショックな映画、『こんな映画見たことない!』という映画が少なくなっている気がする」と、
単館系映画の企画が通らず、日の目を見ないことへの危惧も示されていましたが、
「役作りは楽しいです」と言い切る役所さんの力強いお言葉に、胸が熱くなりました。

そして、今日2度目のサプライズ。会場にいた沖田修一監督が、役所さんと白鳥代表に呼ばれて登壇!
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小栗旬さんには「役作りのために観察された」など、ユーモラスエピソードを連発。
毎朝、靴下選びで迷うシーンは、「他力本願になってしまう精神状態を表現したかった」とのこと。
若いのにこのような「古き良き撮影現場」を知っている感覚がすばらしいと、二人に絶賛されていました。
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最後に、シネマウマが登場!

映画祭最初の出番でしたが、満場のお客さんの拍手でテンション上がりましたウマー♪
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役所さん、沖田監督にリリエンベルグのスイーツをお渡ししましたよー!
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役所さん、沖田監督ありがとうございました!


4本目、今日のラストは『東京原発』
役所さんは、「東京都に原子力発電所を誘致する!」と宣言する都知事の役です。

上映前に、役所さんと山川元監督が舞台挨拶を行いました。

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山川監督は、2002年の完成から公開まで2年かかったエピソードを披露。役所さんは、
昨年3月の原発事故後に話題になったことに複雑な思いを覗かせながらも、「ご覧になったら、
皆さんで話題にしていただけたらうれしいです」。

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「映画好きの方なら、俳優さんの顔ぶれを見ただけで面白いと思うと思うんですが。
なぜヒットしなかったか不思議」と山川監督。宣伝しにくいという事情もあったようです。

しかし、今回の上映は役所さん自らが映画祭に推薦してくださり、会場は満席でした。
そして上映が終わると、会場から拍手がわき起こりました!

ご覧になった皆さま、どう感じられたでしょうか?映画祭ではご感想もお待ちしています。
(メール cinema-uma@siff.jp )

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熱気ムンムンの第1日がこれにて終了。


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興奮冷めやらぬまま、スタッフは夜まで撤収作業。

次の日から川崎市アートセンターに会場を移します。第2日のレポートをお楽しみに!
posted by シネマウマ at 01:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート