2012年11月01日

【映画祭レポート】14日(日)アルテリオ小劇場/幅広いプログラム、熱気満載のフィナーレ!

連日盛況の第18回KAWASAKIしんゆり映画祭。いよいよ最終日を迎えました。
14日(日)、アルテリオ小劇場編レポートです。

この日は「区民まつり」も行われており、駅周辺から街全体がお祭りムード。映画祭も
ブースを出して盛り上げましたよー♪
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スタッフも疲労はピーク、しかし詰め掛けてくださるお客さまの姿に疲れも何のその!
スタッフルームのメモにも切迫感がにじむ…!
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受付の後ろに、今村昌平監督のパルム・ドール(2つ!)があったりします☆


初回は、第13回を迎えたジュニア映画制作ワークショップ発表会。脚本から配役、撮影、
編集などすべて中学生の手で制作するこのプロジェクト。今ではワークショップ出身の元
中学生が、ワークショップのサポートや、映画祭スタッフとして多く活躍しています。

今回は18分の映画『理想の代償』が上映されました。二人の男の子の身体が入れ替わると
いうユーモラスなストーリーと演技に、ほぼ満員の客席からは終始拍手と笑いが絶えませ
んでした。

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壇上に登場し、それぞれの担当と感想を述べる中学生14人「チーム:プリ’ミナンX」の
姿も堂々と誇らしげ。「すごい充実した夏休みを送らせていただきました」など、おおむ
ね満足そう?な感想が次々に述べられました。サポートの市民スタッフ、ワークショップ
出身のOB・OGスタッフも登場し、にぎやかな発表会でした。作品指導の熊澤誓人さん
(映画監督・日本映画大学講師)はじめ指導スタッフの方々、映画評論家・佐藤忠男さん
の講評、メイキング映像公開なども行われました。第1回から完成作を観ている映画祭
スタッフとしては、佐藤先生同様、その完成度の高さに驚くばかり。

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詳しくはジュニア映画制作ワークショップ公式HPにも当日の模様が紹介されていますので
あわせてお読みください。→こちら



続いてはドイツ南西部の小さな町・シェーナウ市住民の活動を取り上げた『シェーナウの
想い〜自然エネルギー社会を子どもたちに〜』
13日レポートでもお伝えした「3.11から
みる世界〜未来(あした)を変える」ドキュメンタリー特集のうちの1本です。
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チェルノブイリ事故のあと、シェーナウ市民が原発に反対し、既存の電力会社と戦い、
自分たちで電力会社を設立、市の方針を決める住民投票に臨む様子を追った作品。上映後、
建築家・彦根アンドレアさん、環境デザイナー・岩崎敬さんによるゲストトークが行われました。
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「『建築家』とありますが、普通の母としてお話したい」と彦根さん。昨年3月の震災後、
ドイツ本国から帰ってくるようにとの声もあった中、日本に残りました。9月にドイツに
行き、エネルギー作りについて学ぼうと思ったところでこの映画に出会ったそうです。
日本人11人を連れて再度シェーナウを訪れ、自然エネルギーの取り組みを見学した様子
などを語られました。

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岩崎さんは、プロジェクターを使って東日本大震災の復興を「街づくり」の視点から解説。
また、この映画の「街づくり」についても述べました。電力会社に自分たちの提案を拒絶
され、住民が電力会社の代わりに自分たちが代替案を作り、責任を取って変わろうという
点、また「ひとつの企業がすべての社会のインフラを担っているという巨大なひとつの
システムから、小さなものがいっぱい集まって、それがつながりながら社会を動かして
いく─多様性、柔軟性をもって危機に対応しよう、という社会全体の価値の転換のひとつを
これが実現させたというのが興味深い。(中略)ひとつの成功例があるというのは非常に
力強いこと、と街づくりを進める者としては感じました」(岩崎さん)。

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彦根さんもちょっとびっくり? シネマウマの登場♪

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ありがとうございました!

小劇場のラストを飾ったのは、『毎日がアルツハイマー』。大卒後オーストラリアに渡り29年、
2010年1月に母の介護のために帰国。認知症の母・ひろこさんと同居しながらその姿を追っ
たドキュメンタリー。YouTubeでの公開動画が反響を呼び、劇場公開が実現したものです。
ほぼ満員のお客さまの前に、関口祐加監督が登場、トークが行われました。

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家族を撮ることの難しさ、「娘としての自分」と「監督としての自分」の間にある思い、
帰国を決意した経緯などを語りました。帰国を決意する前に一度里帰りしたとき、ひろこ
さんの目の変化に気づいたそうです。「母の目には『恐怖』があった。それは私を29年間の
生活をたたんででも帰ってこようと思わせるものだったんですね。逆に言えば、29年間好き
なことをさせてくれたわけだから、母が必要なときに一緒にいよう、と」。

ひろこさんは小学校からほとんど首席だったほど優等生だったそうです。認知症は初期が
一番、イライラしたり家族にあたる時期だそうで、「自分がいろいろなことができなくなっ
てくるというのが許せない、受け入れられない、というのがあったと思います」。

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介護の心構え、発想の転換の大切さについても語られました。「『介護している』という
意識は、実は私はぜんぜんない。2年半の母との生活で一番思うことは、介護というのは
介護される母の問題ではなくて、介護する私自身の問題。500%そう思います。私たちの
対応でどうにでも変わる、私たちの考え方ひとつで物事は違って見えるということ。事象
というのはひとつで、例えば映画でも皆さんの価値観や人生で見方もぜんぜん違う。
介護もまったくそのとおりだと思うんですよね」。

オーストラリアと日本の介護の違いについては「(介護保険と在宅介護があることも含め)
日本のほうがずっと進んでると思います」。個人主義の徹底するオーストラリアは、子ども
が親を介護することは「まず、ありえない」そうです。しかし、「自分の人生は自分で落
とし前をつける」合理的な考えのオーストラリアに比べ、日本の介護は「ウェット」なと
ころがあるといいます。「一番最悪の介護は(お嫁さんでなく)子ども、そして子どもに
よる介護虐待の6〜7割は息子といわれている。なぜかというと、自分の親だから。
一人称になってると思うんですよ。『あんな立派だった母がなぜ!』と。(親の認知症を)
『情けない』と思うか、『面白い』と思えるか。一人称の介護は、介護する側を追い詰めて
いると思うんです」。

お客様からの質問は、どなたもご自身の体験に基づく介護の悩みと、関口監督にアドバイス
を求める内容。「私、映画監督です。介護の専門家じゃないんです…(笑)」と笑いを誘い
ながらも、力強いアドバイスを連発されました。
「遠くの親戚より近くの他人。助けてくれる人って意外と他人だったりするんですね。でき
ないことをカミングアウトして、いかに楽にずるく介護するか。それは介護される側を追い
詰めないことにもなる。『自分の精神を正しく持つ』ことが明るい介護につながると思うん
ですよね」。

苦労されながらも明るく話す監督の言葉の数々に、どんどん元気が沸いてくる!文字通り
腹を抱えて笑っている方もいらっしゃいました。会場が熱気に包まれ、ラストにふさわしい
場になりました。

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ナデナデしてもらったウマ♪

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関口監督、ありがとうございました!


若い中学生の感性、新時代の街づくり、明るい介護! いろいろな世界に連れて行ってくれる
映画祭っていいなあ!と、スタッフも改めて感動した、小劇場の最終日でした。
ご来場、誠にありがとうございました!
posted by シネマウマ at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート
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