2012年10月27日

【映画祭レポート】9日(火) 今日は名画座の日

3連休明けの火曜日。
朝一番の上映作品は
とても貴重な初期のドキュメンタリー長編『アラン』
アイルランドの小さな離島、厳しい自然に囲まれながら暮らす島の人々の
営みが圧倒的な映像で綴られています。
映画館で観られる機会は非常に少ないです。
ということで、平日朝早くからたくさんのお客さまが詰めかけまして、
なんと満席でございます。

上映終了後は、映画評論家の佐藤忠男さんによる講演でした。
今年のテーマは「ドキュメンタリー映画史」。
『アラン』をはじめ数々のドキュメンタリー映画の歩んできた歴史をたどり
ドキュメンタリーの作られ方や作品の魅力を解説していただきました。

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佐藤さんの講演が終わり、外へ出てみると、あれれ?
どこかで見たことありそうな、道化師さん。
これから上映する作品のお客さまをお迎えしています。

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午後の2回目の上映はフランス映画の大作
『天井桟敷の人々』

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この回の上映もたくさんのお客さまが来ていました。
外にいたのはこの映画に登場するバチストさん?

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休憩時間もパンフ配りを手伝ってくれたり、ファンサービスに精が出ます。

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上映終了後、お客さまたちをお見送りし、静かに去っていくバチストさん…
に、扮したパントマイム役者のNani-Soleさんありがとうございました。


この日3回目の上映には
1970年代代表のアメリカン・ニューシネマ『イージー・ライダー』が登場!
フィルムの状態が芳しくなく、急遽Blu-rayでの上映となってしまいましたが、
客席半分は埋まり、この名画の魅力は確かなものだと改めて実感。

上映終了後は3Fコラボレーション・スペースにてトークショー。
東京の飯田橋ギンレイホールに勤務し、社内の「映画キャラバン隊」
というプロジェクトの企画部長をなさっている藤永一彦さんをお迎えし、
ユニークな名画座の活動をたっぷりお話していただきました。
映画を観終わった後の劇場内ではなく、オープンスペースだったので、
雰囲気はなごやか。

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飯田橋ギンレイホールは、都心で残っている数少ない名画座です。現在、
ロードショー公開後の作品を上映する2番館として営業中。
1974年に、2本立て上映の名画座としてスタートしました。
今回上映された『イージー・ライダー』や『フレンチ・コネクション』などの
アメリカン・ニューシネマや、アクション映画、もっと古いアメリカの映画、
『男と女』『昼顔』といったフランス映画などの世界の名画をたくさん上映
してきました。
当時のギンレイホールの上映作品リストも持ってきてくれた藤永さん。
読み上げる作品タイトルに、映画好きのお客さんからは「懐かしい」と、
うれしい声がもれました。

藤永さんご自身も上京後に名画座でたくさん映画を観てきた映画ファン。
『イージー・ライダー』も90年代のリバイバル上映時に一度ご覧になって
いたそうですが、実はこのトークの前にも人生二度目のご鑑賞。
今回のBlu-ray上映、ご覧になっていかがでしたか?
「正直、良かったです。……もちろんあせた35mmフィルムでも十分伝わる
のですが、他の映画でも何でも35mmを観たことがあって、フィルムを知って
いれば、ある程度想定しながら観られる。映画をしっかり観るという点で、
デジタルで上映されることは問題ない、という言い方は変かもしれないけれど、
いたしかたないのかなという気がします。観られないよりは観られた方がいい
ですし。ただ映画祭など何かの機会があれば、35mmフィルムの上映で補うよ
うな体験もできればいいと思います。」

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映画キャラバン隊の活動は、
フィルムの映画がこれからも上映できるようにすること、昔から続く映画の
文化を廃れさせないことです。
機材の収集や保存、技術者の育成、さらにポスターやスチル写真などの映画
資料を保存し、これらを仙台や金沢をはじめ各地で移動上映会を催すなどして
活用し続けています。
まずはギンレイホールで使用していてそのうち入れ替えなどで使わなくなった
映写機やポスターを、メンテナンスしながら保存することからはじまりました。
そのうち他の映画館からも、同じような状況で廃棄されそうになっている
古い映写機を集めるようになりました。
特に珍しいもののひとつにカーボン映写機があり、元々使っていた技術者の方から
「これからも映写を引き継いでほしい」という思いとともに引き受けたそうです。
通常の映写機の光源はキセノンランプですが、カーボン映写機の光源は炭素棒です。
2本の棒をスパークさせて、放電した光が映写の光源になるそうです。

最後に、デジタル化する今後の上映環境をどのように受け止めていくのか聞いてみました。

「お客さまが観たいものがデジタルしかなければそれに対応せざるを得ません。でも、
フィルムの上映機会もほしいので一緒に置きたいと思います。実際フィルムの配給も
なくなっていくので、ホールとしても対応を検討しています。
デジタルに移行することで35mmのフィルムや映写機が貴重であるという価値が浮き
出ると思います。映画を観るのにフィルムでなければいけないということではないので、
どういう形で映画を観てもいいと思います。重要なのは良い映画を見ること。
あった環境の中で映画を見る機会を作っていく、観客として映画を観る場を得ることが
大切だと思います。ただフィルムとしての財産はたくさんあるので、全く失うことは
あまりにももったいない気がします。」

お客さまの中には、どんなふうに古い機材などを保存するのか、興味津津の質問も出たり、
短い時間では語り尽くせない藤永さん、まだまだお話を続けて欲しかったです。
トークのおしまいのほうで、ちょうどこの日の上映最終回の『おとなのけんか』
の入場時間がきてしまいましたが、こちらのお客さまの中にも熱心にギリギリまで
聞いてくれた方がいらっしゃいました。

平日から濃い内容の上映とトークで、
たくさんのお客さまにお越しいただき、良い形で1週間のスタートを切りました。
posted by シネマウマ at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート
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