2014年11月30日

【映画祭レポート (2014.11.3 アルテリオ映像館@)】『ションベン・ライダー』映画監督・細野辰興さんが助監督時代に見た、相米慎二監督と子役たち。

20回目のしんゆり映画祭もいよいよフィナーレ。映像館では70年代、80年代を代表するユニークな映画監督の作品をフィルム上映で観られる上に、貴重なお話を楽しく聞けちゃうトークショーで盛り上がりました!

午前は日本映画大学との共催企画、「子どもと映画制作シンポジウム」の前半がありました。最初の作品は相米慎二監督の傑作『ションベン・ライダー』。子どもを主役にし、演出した映画として今回の企画に絡めて上映しました。上映後は同作の助監督で日本映画大学准教授でもある細野辰興監督をお招きしてトークイベントも開催。

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細野監督は、『セーラー服と機関銃』(81)、『ションベン・ライダー』(83)、『東京上空いらっしゃいませ』(90)の助監督としても相米組の現場を経験されています。当時を知る細野監督ならではの、とっておきのエピソードが次々と語られました。

※「子どもと映画制作シンポジウム」後半(小劇場)のレポートはこちら

およそ30年ぶりに『ションベン・ライダー』をご覧になってトークに臨まれた細野監督。開口一番、「みなさん、この映画、話の流れはわかったんですかね?(笑)ここまで編集で切っていたんだと、久々に見てちょっとショックを受けました」とのコメント。実際に撮影されたのはなんと、およそ3時間40分を越えるほどの長尺だったそうですが、そのほとんどが編集でカットされ、結果的には118分という尺に収まっているそうです。

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「『ションベン・ライダー』の撮影現場で何が起きていたのか?」相米ファンならば、知りたいところ。まずは、主役の子役たちはどういう様子だったのか、お聞きしました。

「当時、主演の子どもたちは、夏休みの体験談のようなノリで、へこたれずに走り回ってやってましたね。相米監督は、現場で指示をしない人として有名。ほったらかして『いつまで同じことやってるんだ』とふいっとどこかへ行ってしまう。そして戻ってきて『まだ同じようなことやってるのか』。子どもたちとじゃれてはいたけれど、大体そんな感じでしたね。ラストカットを撮った後は、子どもたちに川に投げ込まれていましたよ。ざまぁみろと思いながら、私もそれを見てましたけど(笑)」
相米監督ならではの演出方法や、役者との接し方が垣間見えたエピソードでした。

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そして相米監督の現場の特徴で有名なのが、キャメラの長回しや、何度もリテイクを重ねて撮影に臨むといったあたり。『ションベン・ライダー』の時はどうだったのでしょうか。

「一番語り草になっているのは、多分、名古屋の熱田神宮の近くの貯木場のシーン。みんなワンシーンでどんどん飛び込んでいく。あれなんか、典型的なシーンじゃないですか。朝から夜まで撮影で、前日は何度もリハーサルを重ねていた。」

ワンシーンワンカットの撮影開始から終了まで、キャストもスタッフも一斉にぞろぞろと動いていくのが常だったという現場の様子を「運動会のような現場だった」と振り返った細野監督。「クレーン移動が多く、メイクさんも衣装さんも総出でクレーン車を押すこともあって、みんなで撮影を進めた、このカットで一回OKがでれば終わる、という一体感のようなものはあった」とのこと。

スタッフの大変さや相米組ならではの現場の雰囲気も伝わってくるお話でしたが、細野監督がはじめて助監督として正式に就いたのが本作。相米組のおもしろかったところをさらに一つ挙げていただきました。

「撮影もおもしろかったけど、仕上げがおもしろかった。先日逝去された編集の鈴木晄(あきら)さんが当時、脚本通りにつないだ最初の順繋ぎのラッシュは、3時間40分にもなっていた。それを初めて見たとき、新しいアクション映画ができたなととても驚いたことを覚えている」と語った細野監督。もう、その3時間40分の順繋ぎのフィルムはどこでも見られないとか!映画ファンとしては、ぜひ見てみたいですね・・・。

細野監督から見た、相米慎二という映画監督とは。「相米さんは、流ちょうにものをしゃべるタイプではない。冗談抜きで、ウーとかアーとか言うし、大人とはあまり会話をしたがらないタイプのような感じだった。
相米監督が現場で指揮官という感じではなかった。だからこそ、みんなでなんとかしてやらなきゃいけないな、という雰囲気になってくる、そういった雰囲気を作るのがうまかった監督だったなと思います。

自らを『普通の監督じゃないからな』とも言っていた。だからこそ、こういった映画ができたと思う、相米さんらしい映画だなと思って今日もこの作品を見ていた。撮ろうと計算して作ろうと思って作れる映画じゃない。そういった面白さがあると思う。」

そんな相米組での経験を経て、後に細野監督の作品に影響はあったのでしょうか?

「直接的には自分ではわからないけれど、映画のフレームに入っていなくてもいいんだという部分に関しては、平気にはなりましたよね。自分が何本か撮った時に、フレームの外みたいなものを利用して撮っているというのがわかった。『ションベン・ライダー』を今日見て思ったけれど、ほとんどフレームの中には映っていない。でも、観客にあるものを意識させるということが起きている。それは偶然か必然かわからないけれど、もしかしたら影響あるかもなと今日気づきましたね。」

お客様からも質問が。「本編の中で、子どもたちが歌い踊るシーンが多く出てきますが、あれは当初から決まっていたのか?」という質問には「当初から決まっていた、近藤真彦さんの『ふられてBANZAI』その歌ばっかり大人も子供も現場で歌っていた記憶がある」という回答でした。

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細野監督だからこそ知る、『ションベン・ライダー』の制作秘話、そして相米慎二監督の貴重なお話。充実した時間となりました。お客様も大変熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

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細野監督は2015年1月8日より、舞台『スタニスラフスキー探偵団』で原作・演出を手掛けられます。こちらも楽しみですね!



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細野監督、本当にどうもありがとうございました。

→午後のプログラム『野良猫ロック 暴走集団’71』のレポートはこちら


posted by シネマウマ at 01:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート
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