2014年11月23日

【映画祭レポート(2014.11.2 アルテリオ小劇場)】ジュニア映画制作ワークショップ発表会&澤登翠さんの活弁上映会

 小劇場レポートです。

 

 11月2日は中学生たちの晴れ舞台、

ジュニア映画制作ワークショップ発表会の日でした。

 

 朝からたくさんのお客さまたち。

 今年で15年目のジュニア映画制作ワークショップは、夏休みに中学生たちが集まり、プロの指導のもと、脚本作りから撮影、演技、編集まで、映画制作のあらゆる工程を体験しながらチームで1本の短編作品をつくる活動です。いまや全国的に注目されている活動で、子どもたちを対象にした映画制作講座を開く団体や学校が各地に増えています。



 開演前は劇場入口に飾られた中学生による映画制作レポートを、お客さまたちがじっくりと眺めていました。今年はポスターやチラシも手づくりして、広報も中学生たちが自ら行いました。


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ご家族やお友だちをはじめ、この活動に興味をもって来てくれた方々で小劇場の客席も埋まりました。


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今年の作品は『未来選択』。総勢23人のチーム「黄色いペンギン」が力を合わせてつくった“時空を超える”SF作品です。


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〜ストーリー〜

 運動も勉強も人づきあいも苦手な中学生の少女の前に、ある日突然現れた未来人。彼は「未来選択」というサービスを仕事にしているようで、少女も彼の売り文句に乗せられ、数々の未来のシチュエーションから自分の理想のものを選び、さっそくタイムスリップ!

思い通りの自分を手に入れたかに見えたものの、それはそれでなかなか大変なようで…。

 

 上映終了後、舞台の上には「黄色いペンギン」のメンバーと、今年も講師を務めた映画監督で日本映画大学講師の熊澤誓人さんが登場。同じくメンバーの中学生による司会で舞台挨拶が始まりました。


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 まず、撮影中何をしたか、何を感じたかを含めた自己紹介を中学生が一人ずつ話しました。

続いて熊澤さんが、今年の活動を振り返りました。

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 舞台挨拶が終わると、今年のメイキング映像の上映がありました。

 講師とともに中学生の技術指導にあたっていた日本映画学校の卒業生で、現在は映像の仕事で活躍中の方が、夏休みの中学生たちの奮闘ぶりを、楽しく魅力たっぷりのドキュメンタリー風にまとめあげた、こちらもかなりの力作です。中学生たちの珍プレー・好プレーに会場からも温かい笑い声が…。

 

 メイキング映像の上映終了後、再び中学生たちが舞台へ。


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 司会はワークショップのOBの高校生にバトンタッチ。さらなる制作秘話を中学生たちから引き出します。

 質疑応答コーナーもあり、客席からの質問に中学生たちが答えました。質問だけでなく、励ましとお褒めの言葉をかけてくださる方もいました。

 

 映画の中の印象的なセリフ、未来を選択した少女をタイムスリップさせるときに、未来人が言う決まり文句を「チェックイン」にした理由についての質問に、脚本担当の中学生が、「未来に行く場面を想像すると、ホテルに行く情景が浮かんだから」と答えました。そこから派生して、未来から現在に戻る場面に“リセットリターンチケット”なるものが登場することになったようです。ユニークな発想にSF作家の才能がうかがえる!?

 未来人役の中学生はこのセリフを言うときなどの役づくりでは、「カッコつけるのが難しかった」とのことでした。普段なかなか言わないこと、やらないような態度を体験できるのも映画づくりの醍醐味です。


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 「みなさんは普段どんな映画を観ていますか?」との質問もありました。

 ワークショップに参加する中学生たちは、観るのもかなりお好きなようです。

 ジュニア映画制作ワークショップ参加中学生たちから出た「観た映画」、「好きな映画」、そして「おすすめ映画」は…

『レ・ミゼラブル』『英国王のスピーチ』『ゼロの焦点』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

『グラン・トリノ』『桐島、部活やめるってよ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『インデペンデンスデイ』など…。アニメ系も人気で、『サマー・ウォーズ』、ジブリ作品は特に人気があるようです。

 

 映画監督をなさっているというお客さまからは、カット割がすばらしく、将来自分の仕事が脅かされてしまうと思うほど、大人顔負けの仕事をしているとのご感想もいただきました。

 このワークショップで映画づくりをしながら、中学生たちは映画制作を覚えるだけでなく、人としても成長しています。

 ワークショップ体験者の中には、中学校を卒業後も映画祭のボランティアスタッフとして、今度は中学生を支える立場になったり、野外上映会やこの本祭をつくる立場になる人もいます。年の離れた映画祭スタッフにもひけをとらない活躍をみせる彼ら、彼女らの頼もしさを見ていると、大人たちとプロフェッショナルの仕事に触れるこのワークショップの意味がとても大きいものなのだと感じられます。

 

 発表会の最後は日本映画大学学長の佐藤忠男さんによる講評がありました。佐藤さんもこのジュニア映画制作ワークショップを長年見守り続けてきた一人です。


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 このワークショップについては、映画大学の学生が実習で使うものと同じ機材で、学生が撮るのと同じスタイルで制作し、シナリオも自分たちで書くという本格的な活動であり、制作は「どんな映画なら作る価値があるのかを考える」ところから始まると説明していました。

 また、毎年作品を観ていると進歩が見えてくるので、佐藤さんご自身にとってもひじょうに勉強になっているとのこと。


 そして、中学生を支える大人たちは、ロケで場所や建物を使わせてもらう際に、町の人に交渉したりすることもあるため、自然に地域とのつながりも生まれ、町の人たちにとっても自分たちの住む地域を再発見できる機会になるとも話していました。

 ジュニア映画制作ワークショップは、そこに参加する大人たちにとっても郷土愛を育む場になっているのですね。


 さらに、この発表会のような“晴れがましい場”に子どもを立たせてあげることがとても大事なのだということも話していました。


 今年の作品『未来選択』については、「“人を不幸にすることで自分が幸せになる”というものの考え方の出発点など、今まで以上にテーマが明確で、哲学的になっていた」とのことでした。

発表会が終わるとロビーで観にきてくれたお客さまとの交流もありました。


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そして、3階で軽く打ち上げ。中学生たち、おつかれさまでした。


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 ジュニア映画制作ワークショップのブログにも、今回のレポートが公開されました。

こちらもぜひご覧ください。

 また、内容充実の公式サイトもあります。
 こちらでは、中学生の素顔や講師、スタッフの話もたっぷりお楽しみいただける番組「ゆるふわトーク」やポッドキャストもありますので、よろしくウマ!



小劇場、午後のプログラムは今年で7回目となる、活動弁士・澤登翠さんの活弁上映会が開催されました。


ロビーではグッズ販売も。「買うなら今!」な充実した品揃えです。

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今年の作品は『沓掛時次郎』


長谷川伸原作の股旅物です。この戯曲はなんども映画化されていますが、今回上映されたのはその第1作目です。昭和の初めの1929年、今から85年前に作られた作品です。このブログをお読みになっている人はこの映画より後に生まれた人がほとんどだと思います。主人公、沓掛時次郎を演じるのは大河内傅次郎です。

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〜ストーリー〜

沓掛の時次郎は、一宿一飯の義理により博徒の三蔵を切りつけるが、死に際に身重の女房と息子を伯父のもとに届けてほしいと頼まれる。その三蔵の遺志を守って、遺された三蔵の妻と息子の三人で旅をする…。


しんゆり映画祭の活弁上映は生演奏付き。

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今年はミュージシャンの湯浅ジョウイチさんがギターと三味線を演奏し、股旅物の雰囲気をもりあげました。今回はお一人での演奏ですが、湯浅さんは無声映画の伴奏楽団「カラード・モノトーン」を結成され、全国各地の活弁上映会で演奏を続けています。その楽団も今年、私たち映画祭と同じ20年目を迎えたそうです。

澤登さんの活弁は、ほんとうに名調子です。聴いているうちに、従来の活弁からイメージするものではなく、超一流の講談を聴いているような感じでした。これに湯浅さんのギターと三味線が映像と活弁を盛り上げていくわけで、この雰囲気はライブでしか味わえません。素晴らしい、映像、活弁、演奏のコラボでした。

上映終了後、映画祭代表、白鳥あかねと澤登翠さんの対談がありました。


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 白鳥は、古い貴重な映画を後世に伝えていくことは大切なことで、この映画祭の目玉として今後も活弁付き上映を続けていきたいと語り、澤登さんは、この映画祭に呼んでいただくのは大変光栄なことで、しんゆり映画祭がずっと続いていき、多くの人に活弁付き映画の楽しさを味わっていただくよう努めたいと話されていました。


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 シネマウマも活弁大好き!これからもずっと応援していくウマ!


 以上、小劇場レポートでした。


 映像館レポートはこちら


posted by シネマウマ at 01:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート
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