2014年11月11日

【映画祭レポート(2014.11.1 アルテリオ小劇場)】『THE DEPTHS』で濱口竜介監督の才能に触れる!

11月1日(土)レポートからは川崎市アートセンター・アルテリオ映像館/小劇場の会場別にお伝えします。
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今回はアルテリオ小劇場のレポートです。

すっかり秋も深まってきました
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1本目は「今こそ、台湾映画!」特集からの作品『光にふれる』
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同時期に開催されていた東京国際映画祭では、チャン・ロンジー監督の最新作『共犯』が2回とも満席とのことでしたが、前作にあたる本作、見比べた方は作風の違いに驚かれたのでは?

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10/30の回は平日ながら満席、今回も広い会場を埋め尽くすほどのお客さまが集まりました。
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ご来場ありがとうございました!



本日最後の上映は『THE DEPTHS』。同日、映像館で上映された『記憶が私を見る』と同じく「東京フィルメックス in しんゆり」の作品で、2本ハシゴした方もいらっしゃいました!

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上映後、東京フィルメックスプログラムディレクター・市山尚三さんによるゲストトーク。この企画も5年目、市山さんも当映画祭ですっかりおなじみになりました。

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市山さんが濱口竜介監督を知ったのは、2008年の東京フィルメックスコンペティション部門で上映された、監督の東京藝術大学大学院修了制作『PASSION』だったそうです。(※東京フィルメックスHPから当時のトークの模様が見られます。→こちら

『THE DEPTHS』は濱口監督の出身大学・東京藝術大学と韓国国立映画アカデミーの共同製作。原案が先にあり、後から濱口さんが監督に決まったとのこと。劇中も日韓の俳優が互いの言葉がわからないという設定で共演しますが、現場ももちろん日韓スタッフが共同で製作。韓国の撮影監督と意見が食い違うなど、撮影はかなり大変だったらしいとのこと。

「しかし監督のキャリアとしてはよかったのでは」と市山さん。「同じ大学の気の合う、スタイルを完全に理解している仲間同士で撮るのとは違い、国籍も考え方も異なるスタッフ同士でディスカッションし、切磋琢磨しながら作ったことは本人の財産にもなるのでは」。白鳥あかね当映画祭代表が「そういう緊張感みたいなものが出ている気がした」と評したことを紹介、予算も日数も限られた中、これだけの完成度で、作家性も貫いていることを高く評価されていました。

「新人監督とベテランカメラマンの組み合わせなどで、よくあることですが、監督が弱くカメラマンの意思だけが貫かれると、映画として観たときにバラバラになっていることがあります。しかし、この映画は、確実に濱口さんが監督としてコントロールして作った映画のように思えます。現場で、濱口監督が簡単に折れずに撮影を進めたのではないかと思います」。

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暗室で浮かび上がる写真、波止場など、印象的なシーンの多い本作。「多分、彼はものすごくたくさん映画を観ているので、吸収して上手く使っている感じがします。『映画的な』感じがするところがすごく多い」。

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濱口さんは、本作のように日韓の大学同士の合作や、映画学校のワークショップの作品などが多く、いわゆる商業的な映画を撮っていない「非常に珍しい経歴の監督」だそうです。「もう普通のプロの仕事をしてもおかしくない人。個人的には商業映画でどういうものを撮るのか見てみたいという気にすごくさせる監督ですね」。

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邦画(自主映画)の公開本数が増加傾向だという話も。ミニシアター、レイトショーなどで、公開自体は昔より容易になっていますが、「これだけの本数の映画が一挙に出てくると、そこから目立たないとあっというまに消えていってしまう。公開の機会が増えるのはいいことだが、そこから突破するのがすごく難しくなっているというのはありますね」と市山さん。

宣伝費や宣伝する人がいなくて埋もれてしまっている作品が多く、東京フィルメックスで高評価を得ながら配給が決まらなかった『THE DEAPHS』もその一つだとのこと。制作者の責任ではなく、映画祭やミニシアターなど、周囲が見せる機会を作ることの重要性を語られました。

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また、昨年始動した、日本のコンテンツの海外展開を助成する経済産業省のプロジェクト「J-LOP」の企画に濱口監督が参加したエピソードを紹介。濱口監督のほか、『サウダーヂ』の富田克也さん、『ほとりの朔子』の深田晃司さん、『イエローキッド』の真利子哲也さん、『虹色★ロケット』の伊藤峻太さんの5人が今年のカンヌ映画祭に行き、企画をプレゼンしたそうです。

同プロジェクトの選考委員でもあった市山さんは、昨今のアート界の厳しい状況の中、いきなり海外で出資者が現れる結果にはならないだろうが、「絶対に彼らの財産になる」と、このプロジェクトの意義を感じていたそうです。

「日本で映画を作っていると、自分たちだけの世界に閉じこもって、他者がどう思っているかを気にしないで作ってしまうことが多い。ここでは、企画段階で、しかも海外の人からシナリオの感想や意見を細かく聞ける。『このシナリオじゃあダメだ』とか『このほうが面白い』とか。『思わぬことをみんなが考えている』というのがそこでわかり、それは絶対に財産になる。濱口さんがそれを活かしてくれればいいなと思うし、活かせる才能であるのは間違いないと思います」。

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市山さんのお話、そして斬新な演出と目が離せないストーリーで一度観たら誰かと話し合いたくなる本作!映画を学ぶ学生さんは特に勉強になったのでは?

最後にシネマウマが登場〜!
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市山さん、今年も興味深いお話をありがとうございました!

濱口監督は次作の製作中とのことで今回はお越しいただけませんでしたが、映画祭スタッフ一同、応援しておりますー!
濱口監督・本作の詳細については「映画祭スタッフのイチオシ映画紹介」もごらんください!→こちら

市山さんの「第15回東京フィルメックス」は11月22日からで、ただ今チケット発売中。篠崎誠監督が大胆なスタイルで撮った『SHARING』や、『凶悪』『ソラニン』などの脚本家・橋泉監督の『ダリー・マルサン』など、この機会にゼヒという作品が目白押しだそうです。しんゆりの次は有楽町へゴー!

というわけで、7日目・小劇場レポートでした!
posted by シネマウマ at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート
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