2013年11月02日

満員御礼!7日目(13日)レポート 映像館編

いよいよラスト。最終日の映像館レポートでウマ!

1本目『ベルリンファイル』に続く2本目は『横道世之介』。

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上京生活を送る青年と、彼を取り巻く人たちの青春時代(80年代)を綴った、ハッピーだけどちょっぴり切ないテイストの物語。上映後は、沖田修一監督と西ヶ谷寿一プロデューサー(以下西ヶ谷P)のゲストトークを開催しました。

映画上映中、トーク前のスタッフ控室ではスタッフはソワソワ…

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な なんだ、これは?

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ウォームアップするシネマウマ☆ 何の練習?サンバ?もしかして…

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映画上映終了直後の休憩、こっそり、かつ急いで準備。
お客さま、ご協力お願いします〜♪

昨年の『キツツキと雨』に続き(去年はゾンビメイクで暴れさせていただきました!)、映画祭からゲストへのサプライズ。作品に出てくる「太陽の被り物」をお客さま全員に被っていただき、お迎えしました!

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監督、ビックリの表情ありがとうございます!(ガッツポーズ)
西ヶ谷Pにも喜んでいただき、温かい雰囲気でトークがスタート。

まずは、吉田修一氏の小説の映画化ということで、制作する上で意識した点を伺いました。
「原作を大事にしたいと思っていました。やりにくいということは全くなく『どんな映画にしようかなあ』と考えるのが楽しかったです」(沖田監督)

西ヶ谷Pには、沖田監督にオファーしたいきさつをお聞きしました。
「我々の青春時代の話でもあるし、映像化できたらいいなと思いました。そして『これは沖田監督のテイストで個人的に見たい!』と強く思いました。“シュウイチ”って名前も一緒だし(笑)、いいんじゃないかという予感がありました」(西ヶ谷P)

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そして主役の二人についての質問。主演の高良健吾さんは「最初に会った時は、『あ、イケメンだな』と思いましたが、話してみるとすごく純朴な印象がありました。僕の現場で純粋に楽しんでやってくれている姿勢は最初から変わっていない。そこがいいなと思っています。世之介と同じ九州出身で、世之介のような大らかさもあって…ということで、真っ先に決まったという感じでした」(沖田監督)

吉高由里子さんについては「小説を読んでいる時から吉高さんが頭に浮かんでいました。『吉高さんで見たい!』と。彼女は台本読みの時にとても緊張していましたが、そういうものを全部踏まえて初日にドーン!と出してくるパワーがすごい」(西ヶ谷P)。吉高さん演ずる祥子は、ちょっと変わったキャラの持ち主。撮影初日が祥子の個性が前面に出てくる場面(下北沢でのダブルデートの場面)だったこともあり、相当なプレッシャーを感じつつも、吉高さんがどんどん解放されていく様子はお二人にとっても発見続きだったそうです。

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次に、すべてロケ撮影という本作の制作苦労話をお聞きしました。時代設定が80年代なので、出るわ出るわもろもろのエピソード。会場が一気に沸きました。

「80年代の風景がほとんど残ってないんですよ。カメラを回すとパラボラアンテナが映って、CGで消さなければならない。セットを組むと雰囲気が出ないので、実際の街を探さなければいけない…」(西ヶ谷P)
撮影にそのまま使える喫茶店もなく、内装を全部変えさせてもらい、病院も「扉の取っ手が違う」という理由で長野まで出向いたとか。

冒頭の新宿のシーンは当然、許可は下りず、早朝にゲリラ仕込みで撮影。タイミングを合わせて、80年代の格好のエキストラ何人かで歩く。エキストラが待機しているのを見た、信号待ちの外国人が呆気にとられていたそうです。

極めつけは駅。下北沢駅前で若者たちが出会うシーンも、撮影許可が下りない。結局、東急東横線・菊名駅の裏にもう一個駅を作って階段まで設置。菊名の住民がビックリしていたそうです。

「80年代なので、髪型や服も違うんです。集まったエキストラに『もみ上げ切れる人いますか?(エキストラの中でも)前のほうに来られますよ』などと呼びかけて大変でしたよ」(沖田監督)

なるほど。少し前と大して変わらないと思えるような場所でも、撮影の目線に立つとまったく使えないわけですね。ひとつひとつをクリアしていくのはとても大変なことだったと思います。

話は尽きませんでしたが、トーク最後の話題はお二人の仕事のスタンスへ。沖田監督が現場の雰囲気づくりで大事にされていることは?
「苦しい顔をしてやっていても仕方ないなと思っているので、なるべく笑いながらやれるようにはしたい。そもそも、遊びでビデオを回して、撮って…という体験から映画の世界に入っていったので、その根っこは(今も)変わらないですね」(沖田監督)。

「(彼が)そこを大事にしていると、すごく感じます。いつも『役者の芝居を最前列で見たい!』っていう感じでいるよね」(西ヶ谷P)

西ヶ谷Pはご自身のアプローチについて「僕の場合は『この映画を作るぞ!』というよりも『付き合いのある監督の次回作をどうしよう?』という考えが中心になっている。才能ある監督に、どんどん大きくなってもらいたい」とおっしゃっていました。

ここから質疑応答コーナーへ。ツボを押さえた質問をお客さま(日本映画大学の学生さん)からいただきました。

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━━フィルム撮影と聞いて。今、デジタルの世の中で何故フィルムにこだわったのかを聞かせてください。

沖田監督:「一回もやったことがなかったんです。だから、今やらなかったらもうできないという実感がありました。題材も80年代なのでの質感的に合うと思ったんで、(撮影の)近藤(龍人)さんに相談して、ぜひフィルムでやりたいということになりました」。

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━━ 西ヶ谷P。プロデューサーをやる上で大切なことや難しいことを教えてください。

西ヶ谷P:「プロデューサーの役割って、基本的に雑用全部だと思うんですよ。各パート以外のところ全部、ただし責任も全部というところです。でも、逆に言えば『これはやめろ』という指示を出したり、『そんなことはあり得ない』とも言うこともできる。制作当初にみんなの気持ちが一つになっていても、実際にやっていくと、難しいことがあってどんどん剥がれていく。そういうところで『負けない』。『負けたら終わっちゃう』場面で踏ん張るのが、その役割じゃないでしょうか」。(「かっこいいですね!」と沖田監督の一言が)

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トークの締めくくりはお馴染み! シネマウマからのプレゼント。

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きたー!『横道〜』仕様のシネマウマが登場。あれ、後ろにも誰かが!

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途中で倒れるシネマウマ!「僕より先に、構わず行ってくださいウマ」

サンバ・サークルの世之介と倉持一平に扮したシネマウマが、作品中の台詞を再現しながらお二人にプレゼントをお渡ししました。

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「公開から時間も経っていますけれども、たくさんの方に見ていただける映画になったら嬉しいなあと思います。『横道世之介』を見てくださりありがとうございました」。(西ヶ谷P)

沖田監督、西ヶ谷プロデューサー、そしてご協力いただいたお客さま、ありがとうございました!



さて、本映画祭ラストを飾るのは『戦争と一人の女』。坂口安吾の小説を映画化した本作は、太平洋戦争に翻弄された男女の姿を描き、豪華な出演者と制作陣が集結したことも話題になりました。
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ゲストトークは映画祭代表・白鳥あかねを聞き手に、井上淳一監督、主演の江口のりこさんをお招きして開催。白鳥代表はお二人と仕事をしてきた関係でもあり、重厚なテーマの作品ながら、トークは終始なごやかな雰囲気でした。

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本作が生まれるきっかけを聞かれて井上監督は、企画統括の寺脇研さんの「観たい映画がないから自分たちで作りたい」等の意向があったこと、最近の日本映画で忌み嫌われる「性」と「政治」を取り上げたいと思ったことなどを語りました。戦争当時の男女のメンタリティを知ろうと戦争文学を読み漁り、そこで坂口安吾の原作に出合ったそうです。
「『戦争が好き』という女、戦争で死ぬかもしれないという期間限定付きだから燃える男と女の姿。これは今までの戦争映画と違うことができるのではないか、と」

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江口さんは、マネージャーさんからこの企画を聞いたときのやりとりを語りました。
「荒井さんのホン(脚本)で京都で撮影できるというのが私には魅力的だったんです。その頃、仕事していてもつまらなかったんで、これは楽しそうだなと思って。『やりたい』と言ったら、マネージャーさんが『でも、裸になったり、結構ハードな感じだけど、それでも大丈夫?』って。でも、絶対楽しいだろうなと思ったんで、もうホンを読む前に『やります』と決めましたね」

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しかし、初顔合わせでは、「大丈夫かな」と不安になったとか。「寺脇さんは遅刻してきたし、監督は全然喋らないし。私も何喋ったらいいかわからないし。寺脇さんが一人でずっと喋ってましたよね?」(江口さん)
「役者さんに何話していいかよくわからなかったんですよ」(井上監督)

井上監督は、故・若松孝二監督に師事し、脚本家として活躍されていましたが、監督としては本作が初。脚本家から監督へと立場を変えて臨んだ今回の制作体験について、「脚本は、いつも二次元の勝負。それが三次元になっていくときに、果たして自分にちゃんとできるんだろうか」という不安があったそうです。

「脚本家って、二次元を三次元にされて、自分ができないにも関わらず、どこか不満があるものなんですよ。特にここ最近、例えば役者さんに『これは言えません』と言われたら、現場で(脚本が)変わるなど、撮影の諸条件で撮りやすいように変えられてしまうということも含めて、脚本家が大切にされてないな、と思っていたんで、そこだけは絶対に防衛ラインで、きっちりやろうと思っていました。それさえやれば、この映画は、ある程度の出来は担保されるんじゃないかなとは思いましたね」。

本作の脚本は、井上監督の脚本の師匠でもある荒井晴彦さん。脚本を読んでから、江口さんは「こりゃ大変だ」と思ったそうですが、相手の野村先生役が永瀬正敏さんに決まったとき「ちょっと希望の光のようなものが見えた」と。数多くの撮影現場を経験してきて、「現場を楽しむこと」を心掛けるようにしているという江口さん、ここではとても楽しむことができたそうです。

「脚本では『涙を流す女』とか書いてあるけど、涙なんて流そうと思って流せるものじゃないし、『これは困ったな』というのがたくさんあったんです。涙が出ないと、監督はすぐ『はい、もう一回』って言う。でも、現場によっては、私が涙を流さなくても『OK』って言われちゃう場合が結構あるんですよ。『涙は出ないけれど、江口さんの中ではきっとそういう気持ちになってるんだからOKにしよう』っていうようなことだと思うんですが、私としては不満が残るんですよ。だってそう(脚本に)書いてあるんだから。それができなかったのだから。だから監督が『はい、もう一回』って言ってくれるのが、ちょっと嬉しかったんですよね。そのときに『あ、いい現場になるかな』という気持ちがあったし。とにかく撮影が楽しかったんですよ」(江口さん)

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井上監督が本作で得たものは何だったのでしょうか。
「脚本を書いているときって、一番苦しい。『ゼロからこっちが全部やっているぞ』という気持ちがあって、やはりどこか傲慢になっていくんですね、『自分が差配している』と。そのときはかなり嫌なことも言うけど、こうやって(監督として)江口さんと会って、自分の意思すらどうやって伝えていいかわからない。別に意識してモードを変えたわけではないけど、そういうとき、人間って謙虚になるんですよね。それがわかったのは非常に大きかったですね」(井上監督)

「それはすごいいい話だと思う。やっぱりね、謙虚じゃない監督はダメ。伸びない(笑)」(白鳥)

戦中育ちの白鳥は、本作を観て、当時の様子がリアルに再現されていることに感動し、また、京都松竹撮影所という老舗撮影所の協力のもと10日で撮ったというスタッフワークを絶賛。
「日活の監督で、京都の撮影所に行って、いじめられて泣いて帰ってきた人いっぱいいるんだから。だから、すごくよくしてもらったっていう話を聞いて、すごいなあ、奇跡だなと」

永瀬正敏さんの現場での意見が好奏したことや、2人の照明部の方をはじめ「○○待ち」がほとんどなかったという素晴らしい老舗撮影所のスタッフワークなど、多くの幸運が重なった作品だと、井上さん。
「本当に、よくまあこれだけ理想的に落ち着くべきところに落ち着いたなと言う。そういう意味では、本当にラッキーでしたね」

最後にシネマウマからプレゼント!

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さらにトーク終了後、井上監督、江口さん、そして出演者の一人で来場いただいていた千葉美紅さん(日本映画学校俳優科ご出身!)も交え、今年何度目か?の「急遽サイン会」が行われ、ロビーはお客さまとの触れ合いの空間となりました!

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ロビーは長蛇の列

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お三方には映画祭の打ち上げにも参加いただきました。ありがとうございました!
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というわけで、全日程、盛況のうちに終了。3D上映、マサラ上映など、初めてのチャレンジもありましたが、『陸軍登戸研究所』をはじめ、たくさんの満員御礼回を達成でき、これもひとえに熱心に足をお運びいただいたお客さまのおかげと、スタッフ一同感謝しております。誠にありがとうございました。

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来年はいよいよ20周年。皆さまの引き続きのご協力をいただき、映画祭を盛り上げていきたいです。

20周年でお会いしましょウマー!(HPは続くので引き続きチェックくださいね♪)

(KAWASAKIしんゆり映画祭・記録班)
posted by シネマウマ at 20:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭レポート